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長江俊和さんの著書「出版禁止 死刑囚の歌」の紹介と考察(ネタバレ注意)

こんにちは、ショウヘイです。

長江俊和さんの著書「出版禁止 死刑囚の歌」を読みました。

出版禁止 死刑囚の歌

以前も、「出版禁止」という題名の作品を読みました。

その第2弾です。

自分なりの謎解きとか考察で、ネタバレもあるので注意してください。

出版禁止と放送禁止。

この出版禁止は、長江俊和さんが書いています。

長江俊和さんといえば、放送禁止シリーズで有名な方です。

放送禁止 DVD封印BOX

放送禁止シリーズは、フジテレビの深夜に放送されていたドキュメンタリーに見えるドラマです。

とある理由で放送できなかったドキュメンタリー映像を、フジテレビの倉庫の中から見つけてきて、それを放映するという設定のドラマです。

放送禁止シリーズの面白いところは、ドキュメンタリーの映像を別の視点から見ると、まったく違う事実が浮かび上がるというもの。

私は、そんな放送禁止シリーズなど、長江俊和さんの作品が大好きです。

そんな放送禁止シリーズを手がけた長江俊和さんの著作、出版禁止

その第1弾は、すでに読みました。

今回は、その第2弾です。

出版禁止 死刑囚の歌の考察。

ここから、出版禁止 死刑囚の歌の考察に入ります。

これより、ネタバレになりますので、見たくない人は気をつけてください。

ページと、私が気になった事柄や思ったこと。

表紙 表紙の上部に"the laughing death row inamate"とある、訳すと「笑う死刑囚」の意味。どういう意味か。

表紙 出版禁止の禁の字が反転しているけれど、死刑囚の歌の囚の字も反転している。

表紙 木々の幹に和歌が6首書かれている。ブックカバーに書かれている短歌は、本文中に収録されている。(P90)

はじめに 編纂者

P6 編纂者の言葉「人の悪行を全て悪魔のせいにできるなら、これほど便利な言葉はない」 の意味。

「鬼畜の森 柏市・姉弟誘拐殺人事件」文・橋本勲 雑誌「流路」2002年8月号掲載

流路とは、 水などが流れる道すじ、物事が変化する経緯を意味する。

P8 松戸…ホームレスである須藤(仮名)の話。

P12 須藤が望月と出会う。この望月が重要人物のひとり。ちなみに、望月とは満月の意味もあるが、関係ないか…。

P14 望月は窃盗の疑いをかけられ、暴行を受けるも、一切抵抗しなかった。また、暴行を受けている時に薄ら笑いを浮かべていた。

P14 現場…鬼畜の森を書いた橋本の取材。

P15 常磐線各駅停車で十数分で行けるM駅とは、おそらく南柏駅のこと。国道6号線は、南柏駅の北にある。

P16 住宅街の中にある児童公園から100メートルほど離れた場所に、かつてブロック塀に囲まれた木造住宅があった。被害者家族の家。

P17 かつてこの地で殺人事件があったが、犯人の動機が不明。

P18 雑木林…警察官市島徹(いちじまとおる)の話。

P22 二人の子供を殺害したと交番に自首した男。子供の衣服をリュックに入れて持っていた。

P24 二人の子供(男女)を土の中から発見する。

P24 姉弟…公園の横で農家をしていた永井タエの話。

P25 公園の男は、子供と遊んでいた。

P26 男と公園で遊んでいた姉6歳、弟4歳。もうひとり、どこかの女の子も加わることもあった。

P27 疾走…マンションに住む専業主婦の鈴木香(仮名)の話。

P27 鈴木香の娘と、近所に住む小椋鞠子(おぐらまりこ)の娘と同じ幼稚園に通う。

P28 小椋鞠子の長女の名は須美奈(すみな)、弟の名は亘(わたる)。

P29 子供がいなくなったと、小椋鞠子は鈴木香の家を尋ねる。

P30 宮崎勤とは、東京埼玉連続幼女殺人事件の犯人。80年台末頃に起こった。

dic.nicovideo.jp

P32 派出所…元警察官竹村宗平(仮名)の話。 

P32 1993年2月8日土砂降り。

P34 派出所を訪れた男は、竹村に手柄を立てさせようとする。

P36 男はリュックから子供の衣服を取り出す。

P37 男の名前は、望月辰郎。

P37 男の導き出した答えが、「子供を殺すこと」とは?

P38 1993年2月の新聞記事。内容は、小椋克司(かつじ)の長女須美奈ちゃん(6歳)長男亘くん(4歳)の遺体が雑木林で発見された。犯人は望月辰郎。須美奈ちゃんの死因は窒息で、亘くんの死因は打撲による外傷性ショック。

P39 公判… 橋本による裁判の取材。

P41 「(弟を)殴れと言われた」悪魔の指示。

P44 同様に、姉を殺害したのも悪魔の指示。

P45 急に、海の話。補陀落渡海(ふだらくとかい)。

www.mikumano.net

P45 被害者の服を脱がした理由を、すぐに身許がわからないようにするためと望月は言っているが、なぜ身許がわからないようにしたのか。

P46 殺害は悪魔の指示。そのことを社会に対して知らしめるため、自分の所業を世に喧伝し恐怖を与えることが最大の復讐になるため、出頭した。

P47 復讐はまだ充分とは言えない。

P47 「もうこれで自由だ。つらい運命から解き放たれた」とは。

P47 判決は無期懲役。

P48 空き地…橋本による、栃木県某市にある望月の元自宅の取材。

P51 硝子玉…山名徳一(仮名)の話。硝子玉は、感情のない冷たい目の比喩。

P51 山名は、望月辰郎のおじである。

P52 望月辰郎の父の名は嘉寿男(かずお)、母の名は喜恵子(きえこ)で、山名の妹。

P53 嘉寿男は事業に失敗し、辰郎と放蕩生活を送る。幼い辰郎は餓死寸前の時もあったらしい。

P54 嘉寿男は辰郎に暴力を振るっていたらしい。辰郎は父から虐待されていたようだ。

P54 郵便局員刺殺強盗事件。その犯人として嘉寿男が噂される。その後、嘉寿男は自殺。遺書はなかったが、奪われた現金書留の封筒が見つかる。自殺時、辰郎はその場にいた。

P55 辰郎の身柄は、親戚中をたらい回しにされて、結局養護施設に預けられた。

P55 「やはりあいつにも、父親の恐ろしい血が流れていたんだ。鬼畜の血」という、山名の思い。

P55 施設…橋本による福島の養護施設寺院の取材。

P56 悲田院とは、仏教の慈悲の思想により、身寄りのない子や貧しい人を救うために作られた施設で、聖徳太子によるものが始まりだとされている。

悲田院 - Wikipedia

P57 施設で保護された身元不明の「みなし子」に戸籍を与えられることもある。

P61 転落…望月辰郎の歴史を振り返る。

P63 望月は、1991年に自宅を売却している。

P63 幼友達…望月辰郎の娘、今日香の幼馴染である佐々木亜子(仮名)の話。

P66 今日香の異常な正義感。

P67 高校2年生の時、今日香自殺。

P68 今日香の自殺により、望月辰郎は離婚し、家を売却した。

P69 宇都宮…橋本の取材。

P70 今日香の高校の同級生であった、田所亮平に話を聞く。

P72 今日香の飛び降り自殺の瞬間を目撃していた人がいる。なので、自殺であることは間違いない。遺書はない。

P73 今日香の自殺の原因は、いじめではないかと、田所談。

P74 今日香は、いじめを否認し続けた。

P76 今日香の中に父親と同じ恐ろしい血が流れていたと言う、田所。 

P77 今日香にいじめられていた女子生徒は、小椋とは無関係。 

P78 鬼畜の森…橋本による柏市・姉弟誘拐殺人事件現場の取材。

P79 今日香にいじめられていたという生徒は消息不明。

P79 「須美奈は、私の娘の幼い頃によく似ていた。彼女をつれてゆけば、もしかしたら、私の人生は取り返すことができるかもしれない」裁判の中での望月辰郎の証言。

「罪を詠む」文・草野陽子 「季刊和歌」2012年春号掲載

P86 獄中の歌人の島秋人(本名、中村覚)は、実在の元死刑囚。

島秋人 - Wikipedia

愛蔵版 遺愛集―いのち愛しむ獄中歌集

愛蔵版 遺愛集―いのち愛しむ獄中歌集

 

P87 獄中の歌人の平尾静夫も、実在の元死刑囚。

蟲になりても―復刻版 ある死刑囚の歌 (高知歌人叢書)

蟲になりても―復刻版 ある死刑囚の歌 (高知歌人叢書)

 

P88 望月辰郎の和歌作品を季刊和歌の編集部のもとに送ったのは、誰か。

P90 望月辰郎の筆名は「獣の鉈(けだもののなた)」。

P90 望月辰郎の和歌六首。和歌は、後ほどあらためて。 

P91~94 和歌六首についてそれぞれ解説が書かれているが、そのとおりの解釈でよいのか。

P94 望月辰郎が残した和歌には、懺悔の思いは本当になかったのか。

P95 「呪い歌」と捉えるべきものか。

「隣室の殺戮者 向島・一家三人殺傷事件」月刊誌「インシデント」2015年6,7,8月号掲載

P98 【第一回】2015年6月号掲載。

P99 杉野忠(仮名)。

P100 「やめろ、やめろ」男性の声。

P101 長靴がはさまっていたため、ドアは開いていた。

P103 女性の口に白いものが埋め込まれている。

P104 男性と、少女の口にも紙が押し込まれていた。

P105 女性は死亡、名前は小椋鞠子。男性は小椋克司で翌日死亡、少女は一人娘A子。

P105 家族を襲ったのは背の高い男と、克司の証言。

P106 鞠子は鈍器で殴られた。克司は刃物で刺された。A子は首を絞められた。

P108 この事件と、柏市・姉弟誘拐殺人事件との関連。

P110 【第二回】2015年7月号掲載。

P110 東武伊勢崎線曳舟駅。南柏駅からJRと東武線と乗り継いで、約40分くらいの場所。

P111 事件があったのは、午前5時頃。

P113 犯人は縁もゆかりもない人物か。

P115~116 柏市の事件の時の担当だった元婦警の当時の話。克司の言葉「見つかったのは二人なんですか」「どうして裸に」「現場からは、ほかに何か見つかりましたか」「まだ捜索は続くのですか」の違和感。これ以上捜索は行わないと言った後の安心した顔、とは。

P116 柏市の事件から7年後に、A子誕生。2000年。

P117 2011年、望月辰郎の死刑執行、2012年望月辰郎の和歌が専門誌に掲載。小椋により、専門誌の販売中止の申し入れ。販売中止の申し入れをした理由は。

P118 警察の情報に詳しい人物N。

P119 被害者の口に入っていた紙は、和歌専門誌のページ。

P120 和歌専門誌に掲載されていた、望月辰郎の和歌のページを丁寧に切ったもの。

P123 被害者を殴打したという点で、柏市の事件と向島の事件は、手口が同じ。

P124 小椋一家を恨んでいる人物といえば、望月辰郎だが、すでに死刑執行済。

P125 【第三回】2015年8月号掲載。

P129 オカルトとは、ラテン語[occulta]で、「隠されたもの」という意味。

P129 連続殺人犯テッド・バンディ。アメリカに実在した高知能連続殺人犯の代表格。

dic.nicovideo.jp

P130 市橋達也。英会話学校講師リンゼイ・アン・ホーカーを殺害し、その後逃亡した。

リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件 - Wikipedia

P130 望月辰郎は、本当に小椋一家に深い憎しみを抱き続けたのか。

P133 「草野陽子」はペンネーム。

P135 和歌には後編もあったが、遺族による抗議でお蔵入りになった。

P135 望月辰郎の和歌を投稿してきた人物は不明。

P136 投稿者の住所は、東京都K市。JR中央線沿線ということで、小金井市か国分寺市か国立市か。

P139 投稿者の住所には、水商売風の若い女性が住んでいた。住所はデタラメ?

P140 A子は、依然意識不明のまま。

「妻が消えた理由」文・海老名光博 2008年 ノンフィクション「私が失踪調査人をしていたころ」所収

所収とは、一つの書物に収められていることを意味する。その本の中の第三章「妻が消えた理由」が抜粋されている。

P142 1986年の話。

P144 捜索しているのはM子。

P145 T(47歳)が海老名に、疾走した妻のM子を捜索を依頼している。

P146 M子は一人っ子。

P149 M子名義の銀行口座から、長野県のATMで金が引き出されていた。

P149 M子の母親は、長野県在住。

P151 M子の高校時代の友人K穂。

P152 千葉県の某駅とは、常磐線各駅停車しか停まらないとあり、話の筋から南柏駅と察しがつく。

P154 千葉県K市は、柏市だろう。

P155 ベビーカーを押すM子は、若干ふくよかになっていた。

P156 ブロック塀に囲まれた木造住宅。

P157 家主はOという人物。小椋克司のことであり、M子はその妻の鞠子(まりこ)。

P160 ベビーカーの子は、生後9ヶ月で、Tとの子らしい。

P161 鞠子の失踪は、Tの暴力が原因だと、M子。

P163 鞠子の子は、出生届が出されておらず、無戸籍者。Tに居場所を知られないようにするため。

P166 不幸を呼び寄せているのは私自身じゃないかと、鞠子。

P166 Tも失踪。

P167 この依頼から7年後の1993年に、柏市・姉弟誘拐殺人事件が発生する。P38の1993年2月の新聞記事によると、長女須美奈ちゃん(6歳)長男亘くん(4歳)の遺体が発見されたとあるが、長女須美奈ちゃんの年齢が合わない。

「検証 二十二年目の真実」文・橋本勲 雑誌「流路」2015年11月号掲載

P170 2015年は、向島・一家三人殺傷事件が起こった年。

P172  「鬼畜の森 柏市・姉弟誘拐殺人事件」文・橋本勲 雑誌「流路」2002年8月号掲載の記事には事実誤認があるという手紙が、橋本のもとに届く。

P173 差出人の名前は、加藤江美(仮名)。

P174 加藤は、望月辰郎の娘である今日香の高校時代のクラスメイト。

P176 和歌…今日香、江美の高校時代の話。

P177 今日香は、和歌に造詣が深い。

P178 和歌は、枕詞、掛詞、沓冠、物名など、暗号のような修辞で、相手に伝えたい気持ちを隠す。

P181 茎も葉も みな緑なる 深芹は 洗ふ根のみや 白く見ゆらむ(藤原輔相)の中に、物名という技法が使われていて、「あらふねのみや しろくみゆらむ」の中に、荒船の御社(あらふねのみやしろ)という言葉が埋め込まれている。

P182 今日香が、和歌が好きなのは父辰郎の影響。

P183 江美はクラスの女子たちからいじめを受け、そのことを今日香に告白する。

P184 「そうだよ。見下しているよ。あなとのこと…。ずっと憐れんでいた」と今日香は江美に言う。

P185 江美に言い寄る男子が、女子たちに言っていじめをやめさせた。

P186 その後、今日香が孤立した。 

P188 クラスメイトや女子グループの策略により、江美は今日香からいじめを受けているというふうに、でっち上げるように言われる。

P191 今日香に「いじめグループの主犯格」という汚名を着せたのは、江美に言い寄ってきた男子で、今日香に振られた腹いせ。

P192 1991年11月20日、今日香死亡。

P194 今日香の死から一年余りたち、望月辰郎による柏市・姉弟誘拐殺人事件が起こる。

P195 糾明は、悪いことを問いただして明らかにすることの意。

P195 事実誤認とは、今日香はいじめの加害者だったという点。「鬼畜の森 柏市・姉弟誘拐殺人事件」で登場した田所亮平(仮名)という人物が、江美に言い寄ってきた男子。

P195 3年前(2012年)頃に、江美の実家に望月辰郎の和歌が掲載された「季刊和歌」が送られてきた。差出人不明。

P201 田所が、今日香をいじめグループのリーダーに仕立て上げたのは真実に違いない。

P202 S氏。今まで出てきた人物とは無関係。

P203 小冊子「千葉県柏市・児童虐待調査報告書」に、「柏市O家の事例」とあり、その家は「虐待の家」と呼ばれていると掲載。 O家は、小椋家。

P204 冊子の内容に「姉が泣いている妹を慰めている様子を見たことがある。犬小屋に、首輪をつけられた服を着ていない女の子がいた」とある。

P205 事件当時、虐待について警察は問題視しなかった。

P206 望月辰郎は、小椋家での虐待のことを知っていた?

P207 日記…向島・一家三人殺傷事件の犯行日記。

P208 向島・一家三人殺傷事件の襲撃者は室内にいた人物と、警察は判断。

P209 小椋克司の証言「暴漢に襲われた」と矛盾。口の中に紙が入れられたのは不明。

P210 ある文書データ。あの人とは?

P212 ずっとあの人に触れられていたい。あの人の話に衝撃を受けた。この世には、人の皮をかぶった悪魔がいる。あの人の言うことは本当だった。この歌を何度も繰り返し読んでみた。呪いの和歌には、雑誌に載っていた解釈とは、全く違う別の意味があるらしい。

P213 憎しみと苦しみは連鎖する。殺意という言葉にときめき。口の中に突っ込むのだ。二度と悪魔が蘇らぬよう。

P214 これは聖戦である。もうすぐだ。悪魔は滅びる。滞りなく計画を遂行したとしても、完全に悪魔を根絶やしにしたわけではないということだ。

P215 ある文書データは、A子さんのパソコンにあったデータで、消去されていたが復元されたもの。 これを読むと、向島・一家三人殺傷事件の犯人は、A子?

P217 和歌専門誌に望月辰郎の和歌を送った投稿者、いじめ被害者の加藤江美に望月の和歌が掲載された雑誌を送った人物、A子に近づいた人物「あの人」は、同一人物か?

P223 望月辰郎の和歌六首の解釈。物名による検証。

  • 血反吐吹く 雌雄果てたり 森の奥 白に滲むな 死色の赤よ
  • 鬼と化す 経ては暗闇 今もなお 割った鏡に 地獄うつりて
  • 川面浮く 衣はなき花冠 生の地を 発つ子咎なき 流れては消え
  • 耳すまし 三途渡しの 音が愛し 真綿死の色 在世死の毒
  • 姉が伏す 身鳴き身は息 蝋少女 命に怒れ 手よ烏や雲
  • 暮れゆくも 薄く立つ霧 闇深き 妖花に和える 呪い草かな

それぞれの歌に一ヶ所ずつ、隠された「意味のある言葉」が存在した。それをつなげると…

「ふくしゅうは、おわった。いのちをたつことが、わたしのねがい。これでようやくきょうかにあえる(復讐は、終わった。命を絶つことが、私の願い。これでようやく、今日香に会える)」 

P226 望月の筆名「獣の鉈(けだもののなた)」に「物名(もののな)」という言葉が埋め込まれている。

P227 和歌に隠された言葉から、誘拐殺人が復讐であり、そうすることにより自ら死刑になることを望んだという、解釈。

P227 望月の担当弁護士の話「望月はずっと死にたかったのではないか。今日香の死を機に、望月は自分の死に場所を探していたのではないか。生かされるより死刑になることを望んだのではないか」と。

P228 望月は自分の死のために殺人を犯したのか?望月は人の皮をかぶった悪魔なのか?望月の怨念を受け継いだのは誰か?

P231 編纂者のことば 伊尾木誉(いおぎほまれ)2015年11月某日

P231 A子は意識を取り戻したが、事件のことは何も言わない。

P234 「自分は不幸を呼ぶ女」から、小椋鞠子は克司から暴力を受けていたのではないかとあるが、本当か?

P237 A子さんを救いたい。事件の全貌を明らかにし、彼女の恐ろしい悪意の連鎖から解き放ってあげたい。

「2003年6月5日 小菅」インターネット・某個人ブログからの転載 

2003年は望月の死刑判決が出る前。小菅(こすげ)には東京拘置所がある。

P240 2015-11-11 23:39:03 このブログが書かれた日時だと思われる。この日時、先程の編纂者のことばと同時期。このブログの筆者のは誰なのか。

P240 2003年、筆者がその後死刑囚となる望月との面会。

P243 望月は今日香に、真実を告げることを禁じた。憎しみの連鎖を断ち切るために。しかし、今日香は死を選んだ。

P244 真実とは、おそらく加藤江美をいじめたのは今日香ではないということ。

P244 「復讐するは我にあり」 は、「悪人に報復を与えるのは神である(自らではない)」の意味。同名の小説がある。

復讐するは我にあり (文春文庫)

復讐するは我にあり (文春文庫)

 

「我々は決して、復讐を行ってはいけない。さもなくば悪意の連鎖は永遠に続くことになるからだ」と、望月。

P245 筆者「あなたは人殺しが出来るような人間ではありません。か弱き幼い子を手にかけることなど、出来るはずもない」どうしてこの人はそんなことが言えるのか。

p245 筆者「私は知っています。あなたが誘拐殺人の犯人ではないことを」この部分も、どうしてそんなことがこの人は言えるのか。

P246 筆者「お願いです。全ての真実をありのままに告白してください。そうでなければ、私が」私が、なんなのか。その後、望月は絶対にやめてくれと言っている。

P246 望月「罪を厳粛に受け入れて罰を受ける。これが私の、娘に対するせめてもの贖罪。私はいま、補陀洛に向かう船のなかにいます」P45でも、補陀落(ふだらく)についての言及がある。

P247 望月「私も会えてよかった。あなたが元気で健やかに生きていてくれるのが、私の何よりの希望ですから」望月は、この筆者のことをよく知っていることをうかがわせる。

追記 伊尾木誉 2015年12月

この追記は、編纂者のことばと「2003年6月5日 小菅」の後に書かれたもの。

P251 投稿者は、男性とは限らない。望月の元妻は、「あの人」とは無関係。

P252 望月の和歌は六首だけではない。全部で十首。死刑囚の和歌ということで、話題性があったため、二回の連載予定だった。

P256 六首を選んだり、順番を変えたりしたのは、和歌雑誌の編集部の意向。

P256 正確な順番にならべた、全十首の和歌。その結果、P223でなされた、物名による解釈「復讐は、終わった。命を絶つことが、私の願い。これでようやく、今日香に会える」も変化する。

P258 ルポルタージュ「妻が消えた理由」の中の記述で、明らかに矛盾している部分がある。「P167 この依頼から7年後の1993年に、柏市・姉弟誘拐殺人事件が発生する。P38の1993年2月の新聞記事によると、長女須美奈ちゃん(6歳)長男亘くん(4歳)の遺体が発見された」とあり、長女須美奈ちゃんの年齢が合わないという部分?

P258 JR常磐線湯本駅(フラガールと湯けむりに出逢える町 いわき湯本)。

P260 ビニール傘をさした一人の女。この女性は誰か。

P261 この女性は、向島の事件と関係あり?

P265 この女性は、東京拘置所で望月辰郎と面会した、ブログの筆者。

P266 この事件の背後に隠れていた人物は一体誰なのか。ルポルタージュに彼女の存在が何度か記述されていた。 

P267 「もし真実を告白して、憎いと思ったら、殺してくれますか。私のことを」

P268 A子は、小椋夫妻から虐待を受けていた。虐待を受け、頬を腫らしたA子に、この女性は近づいた。

P269 女性は、A子に真実を伝えた。真実とは。

P270 A子の知らない姉と兄とは、柏市・姉弟誘拐殺人事件で殺害された、須美奈と亘。二人を虐待し殺害したのは、小椋夫妻であり、望月辰郎ではないと、女性は言う。

P271 女性が、小椋夫妻の死を望んだのは、それが責務だから。

P272 小椋鞠子こそが本当の鬼畜。克司が実行犯で、鞠子は主犯。

P272 鞠子が前夫から逃げた理由は、前夫からの暴力ではなく、お金を持ち逃げしたため。

P273 「1986年に前夫との間の子を鞠子は産んだ。1993年の誘拐事件で殺害された時、その子は6歳の誕生日を迎えたばかり」事件があったのが1993年2月初旬で、その時6歳の誕生日を迎えたばかりということなので、誕生日を1月と想定すると、1986年1月に生まれた子は1993年1月には7歳になる年齢である。ということは、伊尾木が言っていることに齟齬がある。この齟齬について、伊尾木はわざと言っているようで、このことを言いつつ、女性の様子をうかがっている。

P274  向島・一家三人殺傷事件の犯人は、A子ではなく克司。

P275 克司は、女性の存在に怯えていた。

P276 贖罪のため、克司は鞠子を殺害し自害した。

P277 P267で「もし真実を告白して、憎いと思ったら、殺してくれますか。私のことを」と女性が言ったのは、復讐の連鎖を断ち切るため。

P278 この女性は、結局誰か。 

P279 渡海…「自分」による独白。

P279 懐中電灯を握りしめている自分。

P279 スコップで土を掘り起こしているおじさんは誰か。

P280 母親は鞠子、父親は克司。

P280 姉は自分より一つ上で、無戸籍でありほとんど幽閉状態だった。

P283 九死に一生を得た自分は、おじさんを頼った。おじさんは、望月。そして、望月に昨夜の出来事を告白。

P286 孤児院をやっているお寺の住職のところへ行くように望月に言われる。

P289 「あなたが元気で健やかに生きていてくれるのが、私の何よりの希望。だから、全部忘れて生きろ。これからの人生を」望月の言葉。

P290 復讐の連鎖を、身を挺して望月は断ちきり、自ら今日香のもとへと旅立とうとした。それを自分は…どうしたのか。

P291 小椋須美奈は、雑木林の出口にたどり着いた。 

  • 鬼と化す 経ては暗闇 今もなお 割った鏡に 地獄うつりて
  • 川面浮く 衣はなき花冠 生の地を 発つ子咎なき 流れては消え
  • 耳すまし 三途渡しの 音が愛し 真綿死の色 在世死の毒
  • 血反吐吹く 雌雄果てたり 森の奥 白に滲むな 死色の赤よ
  • 鉄格子 飽く間に過ぎる 仇討ちか 蔦目も憎き 獄の窓より
  • 死子に櫛 身の隅々も 清められん 沙汰血切る神 累々の死屍
  • 邪の視線 ぶつ手止まらず 柔い皮 擦れて滲む血 子の息止まる
  • 姉が伏す 身鳴き身は息 蝋少女 命に怒れ 手よ烏や雲に
  • 硬き舌 奇術の如き 赤木札 楽になりにし 四つの眼
  • 暮れゆくも 薄く立つ霧 闇深き 妖花に和える 呪い草かな 

私の考える「出版禁止 死刑囚の歌」の焦点。

時間を追って、出来事を紐解いていきます。

まず、望月辰郎の生い立ちから。

望月は、父から虐待を受けてきた。

父が自殺した後、望月は福島の施設に預けられる。

その施設では、身元不明の子に戸籍が与えらることもある。

施設から出た後、望月は結婚し、娘の今日香が誕生。

今日香は父の影響を受けて、和歌に通じていた。

今日香は、高校の同級生の田所亮平(仮名)らによって、加藤江美(仮名)をいじめていたという濡れ衣を着せられる。

今日香は、父の望月に相談したものの、憎しみの連鎖を断ち切るために、いじめの真実を告白することを禁じた。

その禁じた葛藤を苦にして、今日香自殺。

その一年後、「柏市・姉弟誘拐殺人事件」が起こる。

柏市・姉弟誘拐殺人事件で殺害されたのは、小椋須美奈ちゃん(6歳)小椋亘くん(4歳)。

この二人を殺害したのは、その両親、小椋克司と小椋鞠子で、鞠子が首謀者。

小椋夫妻は、日頃から子供を虐待し続けてきた。

ただ、小椋夫妻には子供が二人の姉弟以外に、もう一人女の子がいた。

つまり2女1男。

2女の姉の方は、鞠子と前夫との間に生まれた子であり、1986年生まれ。

ただし、前夫に居所をさとられないようにと、無戸籍。

2女の妹の方は、その一年後の1987年に生まれ、この子の名前は須美奈。

1993年2月の柏市・姉弟誘拐殺人事件の新聞記事では、長女須美奈(6歳)とある。

しかし、この事件の被害者の女の子は無戸籍の姉。

小椋家には子供は二人しか世間的に認知されていなかったので、被害者は須美奈ということにされた。

つまり、小椋夫妻は、3人の子供を殺害したつもりでいた。

P115からの元婦警と小椋克司との会話「見つかったのは二人なんですか」で、「3人のはずが2人しか遺体が見つかっていないのはなぜか」というニュアンスを含んでいる。

本物の須美奈だけは生き延びて、望月がお世話になっていた福島の施設へ逃亡する。

その施設で、須美奈は自分の名前を捨て、あらたに戸籍を与えられ、新しい名前を得た。

柏市・姉弟誘拐殺人事件で死刑判決を受けた望月と、須美奈は面会を果たしている。

「2003年6月5日小菅」というブログの中で、望月が面会人に対して、「あなたが元気で健やかに生きていてくれるのが、私の何よりの希望なのですから」とあり、望月が面会人を須美奈と認識していることがうかがえる。

その際に、須美奈は望月から和歌を受け取ったのではないか。

2011年、望月の死刑が執行される。

2012年、望月の和歌が専門誌に掲載されるが、小椋夫妻により出版差し止め回収される。

同じ年、その和歌専門誌を、加藤江美に送ったのは、須美奈である。

それから3年後の2015年に、向島・一家三人殺傷事件が起こる。

この事件で、小椋夫妻は死亡、娘のA子はなんとか一命を取り留める。

それぞれの口の中には、和歌専門誌の望月の和歌が掲載されたページが詰められていた。

犯人は、この3人の中にいると警察の見解。

A子は小椋夫妻から虐待を受けていて、いつか命を奪われることがあるかもしれない、そうなる前に小椋夫妻を葬り去るようにと、須美奈はA子に唆した。

虐待の首謀者は鞠子であり、それに屈服する形で克司は子供に虐待を繰り返した。

が、実際の犯人は克司であり、A子を守るため鞠子を殺害し、自分も自害した。

こうして、須美奈の復讐は達成された。

この「出版禁止 死刑囚の歌」の一番のポイントは、望月の和歌でしょう。

専門誌に掲載された六首と、望月が詠んだ全十首で、物名の技法による解釈、つまり隠された言葉の意味が変わってきます。

専門誌に掲載された六首に隠された言葉は、P223で「復讐は、終わった。命を絶つことが、私の願い。これでようやく、今日香に会える」と橋本勲は解釈している。

ただ、六首だけでなく全部で十首あり、隠された言葉を抽出すると…

  • 鬼と化す 経ては暗闇 今もなお 割った鏡に 地獄うつりて
  • 川面浮く 衣はなき花冠 生の地を 発つ子咎なき 流れては消え
  • 耳すまし 三途渡しの 音が愛し 真綿死の色 在世死の毒
  • 血反吐吹く 雌雄果てたり 森の奥 白に滲むな 死色の赤よ
  • 鉄格子 飽く間に過ぎる 仇討ちか 蔦目も憎き 獄の窓より
  • 死子に櫛 身の隅々も 清められん 沙汰血切る神 累々の死屍
  • 邪の視線 ぶつ手止まらず 柔い皮 擦れて滲む血 子の息止まる
  • 姉が伏す 身鳴き身は息 蝋少女 命に怒れ 手よ烏や雲
  • 硬き舌 奇術の如き 赤木札 楽になりにし 四つの眼
  • 暮れゆくも 薄く立つ霧 闇深き 妖花に和える 呪い草かな 

すべては終わった。命を絶つことが、私の願いと私の贖罪。復讐は、むなしい。悪魔に打ち勝つため、憎しみの連鎖断ち切る。全部忘れて、須美奈、君は生きろ。これでようやく、たどりつく補陀落。もうすぐ、今日香に会える」となる。

つまり、望月は、自分が死刑になることが願いであり、贖罪でもあった。(命を絶つことは、姉弟の命ではなく自分の命)

また、悪魔に打ち勝つためには、憎しみの連鎖を断ち切ることだとし、全部忘れて生きるようにと須美奈に諭している。

その上で、補陀落渡海により、今日香に会うことができるのだとしている。

これらの話は、「2003年6月5日小菅」というブログの中で、望月と須美奈が面会した際に、望月が主張していたことに沿っている。

つまり、望月は、死刑は自分の贖罪であり、復讐は神のみが行うことだとしている。

また、須美奈に生きるようにと言ったことも、和歌の中に込められている。

編纂者が最初に言った言葉「人の悪行を全て悪魔のせいにできるなら、これほど便利な言葉はない」は、「人の悪行を悪魔のせいにすることで、人は自ら復讐をするこはできない。それを行うのは神だ。悪魔に打ち勝つために人ができることは、憎しみの連鎖を断ち切ることだ。そのように悪魔という言葉を使うのならば、とても便利な言葉だ」ということを言っているのだと思う。

このような話なんだと思います。

あと、引っかかるのは、編纂者の伊尾木誉(いおぎほまれ)という変わった名前とか。

…これが真相なのかはわからないですが、一応私の考えです。

私は、気になったところに付箋を貼りながら、メモしながら、読んでました。

あなたには”真実”が見えましたか?

以上、「長江俊和さんの著書「出版禁止 死刑囚の歌」の紹介と考察(ネタバレ注意)」でした。