こんにちは、ショウヘイです。
放送禁止 劇場版 洗脳~邪悪なる鉄のイメージ~を見ました。
私がちょっと気になったことを書きたいと思います。
話の内容に触れるので、ネタバレ注意です。
放送禁止とは。
放送禁止は、フジテレビ系列で不定期で放送されてきたドラマでした。
テレビドラマだけでなく、映画にもなり、シリーズになっています。
放送禁止シリーズは、フェイクドキュメンタリー(ドキュメンタリーに見えるドラマ)です。
とある理由で放送できなかったドキュメンタリー映像を、フジテレビの倉庫の中から見つけてきて、それを放映するという設定のドラマです。
放送禁止シリーズの面白いところは、ドキュメンタリーの映像を別の視点から見ると、まったく違う事実が浮かび上がるというものです。
放送禁止 劇場版 洗脳~邪悪なる鉄のイメージ~ 内容と考察。
放送禁止 劇場版 洗脳~邪悪なる鉄のイメージ~ 考察。
これより、ネタバレになりますので、見たくない人は気をつけてください。
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【事実を積み重ねることが、真実に結びつくとは限らない】
【画面の隅々まで注意してご覧頂きたい。あなたは隠された真実が見えるだろうか?】
部屋の壁に貼られた扇子が9つが映る。
2012年9月13日。
その部屋で、パニックになる女性と、それをなだめる女性。
【この映像は某テレビ局のドキュメンタリー枠で放送される予定だったが、ある事情により放送が見送られ、インターネット上に流出したものを再編集した】
「脱洗脳の過程を撮影した映像」
「元主婦 江上志麻子(えがみしまこ)さん(29歳)」の表示が二人の女性の真ん中に表示される。どちらが志麻子か。
ある人物によって施された強烈な洗脳によって…
志麻子を強い洗脳状態から解放すべく治療を行う女性「心理セラピスト 小田島霧花(おだじまきりか)さん(30歳)」、このテロップも二人の女性の真ん中に表示される。どちらが霧花か。
撮影しているのは、ビデオジャーナリストの鷲巣みなみ(わしずみなみ)。
みなみいわく「志麻子が良くなっているとはどうしても見られない。早く良くなってほしい」
テーブルに置いてある花。ガーベラ?
みなみは、志麻子の脱洗脳を霧花に依頼した。
志麻子は、いったい誰にどんな洗脳を受けたのだろうか?
窓からトラックと人影が見える。
2012年9月14日。
セラピストによる脱洗脳は続く。
テーブルに置いてある花。カーネーション?
「2年前って、あなたはどんな生活してたの?」
「普通の主婦」
(2010年のビデオ映像)
父子がおもちゃで遊んでいる。
父は、志麻子の元夫である五十嵐孟(いがらしたけし)。
子は、江上乃理(えがみのり)くん。
孟は、エリート商社マンだったが仕事に忙殺され、家庭を顧みなくなった。
料理研究家の久慈マリア(くじまりあ)、人生相談にも応じていたカリスマ主婦。
「もし悩みがある人がいましたら、私のキッチンに遊びに来て、みんなと楽しく嫌なこと忘れましょう」
マリアには裏の顔があり、目をつけた主婦に対して洗脳し、家庭を崩壊していた。
そのターゲットとなったのが、志麻子。
「マリアさんはそんな人じゃない。助けてくれた。元夫の浮気を暴いてくれた」と志麻子。
そして、マリアの指示通りに離婚した。
その後、もっと深く洗脳するために、マリアは志麻子の家に移り住んできた。
そして、乃理くんと3人で生活。
マリアは、志麻子の財産を奪い、志麻子をキャバクラで働かせ、最後には一番大事なものまで持っていこうとした。
マリアいわく、乃理くんは憎むべき元夫の血を受け継いだ呪われた子供。その血を浄化しないといけない。浄化するには、マリアの知人がやっている九州の養護施設に預けなさい、と。
志麻子は躊躇し、それに対しマリアは激昂。
マリアは天罰がくだると志麻子を脅した。
「2011年9月久慈マリアさんが姿を消した」
マリアの後ろの本棚に、MAYOCLINIC(メイヨー・クリニック)の本が並んでいる。メイヨー・クリニックは、アメリカ合衆国ミネソタ州ロチェスター市に本部を置く総合病院。
マリアの横に映る、西洋の鎧、プレートアーマー。
みなみは、マリアによる志麻子の洗脳が解けないのを案じて、霧花に脱洗脳を頼んだ。
2012年3月23日(久慈マリアが消えた半年後)。
志麻子の家で火災が発生。
その様子を沢山の野次馬が携帯で撮影。
火災原因は、タバコの火の不始末。全焼。
志麻子は救助されたが、乃理くんは…。
これは、マリアが言った天罰なのか?
乃理くんの写真立てが映る。
部屋で志麻子が泣いている、カメラ映像。
その映像を、屋根裏部屋のような場所で見ている霧花とみなみ。
「志麻子って今どういう状態なのでしょうか?」
「残念ながら、いまのところそんなに進展しているとは思えないですね。でも、呪縛を解くのは不可能ではないです」
脳科学者の苫米地英人氏の話。
「洗脳とは、夢見てる状態が昼間でも続いている。目を開けているのに、夢見てる状態。目を開けているのに違う人格として生きるように人工的に作ることができる。起きても覚めない。もしくは起きた瞬間にもとに戻るように、色んな仕掛けがされており、そういったものが固定化されたものが洗脳」
苫米地英人さんは実在の脳科学者で、著作も多数。
部屋に、志麻子と霧花がいる。
テーブルに飾られていた花は、ちょっとわからない。
「好きな花は?」 「金木犀が好きですね」
「なんでたくさんお花があるのに金木犀なの?」「なんでだろう?」
金木犀の花言葉は、謙虚、真実、陶酔などがある。
再び、脳科学者の苫米地英人氏の話。
「脱洗脳について、被洗脳者と対面して話すだけで充分。催眠はかけた人が解く。かけた人以外は解きにくい。プロは他人がかけた催眠を解くことができる。アンカー…洗脳状態を続けさせるイカリ、トリガー…洗脳状態にする引き金。そのアンカーやトリガーを一つづつ剥がすのが、脱洗脳の基本」
再び、志麻子と霧花がいる部屋。
「あなたの子供時代の話を聞きたい」
「両親が離婚して、親戚の家を転々としていた」
再び、屋根裏部屋のような場所にいる霧花とみなみ。
部屋で志麻子が寝ている、カメラ映像。
「志麻子ん家の火災って、ただの家事ではないんじゃないか?放火の可能性もあるのかな、と」
「でも、消防署の調査では、タバコの火の不始末と言われた」
「志麻子って、タバコ吸わないんですよ。不自然じゃないかなって」
「誰がそんなことをする?」
「それは、私もわからないが、思い当たらないわけでもないので、ちょっと調べてみようかなと思う」
「私も、なんかこの火災は、普通の火災でない気がしていました。火事の原因が分かれば、彼女の治療に役立つかもしれない」
部屋で志麻子が寝ているカメラ映像、大きな鏡に子の人影?
2012年9月16日。 (最初の日から4日目)
喫茶店での隠しカメラ映像。
タバコを消す手は、みなみ。
喫茶店の席に迎え入れたのは、久慈マリアの料理教室に通っていた主婦。
インタビューが始まる。
「今、久慈さんは、どこにいったのかって?」
「一年前から、全然連絡しても来ないし、向こうからも当然来ない。久慈マリアは話が面白く、聞き上手で、色んな話を聞いてもらいたくなる。後から聞いたのだが、それが手口で、話を聞き出して、弱っている人を見つけ、その人達を集めて、儀式みたいな、魂を浄化させるとか…。儀式の前に、聖なるぶどう酒と言って、悪い薬とかを使っている。薬やアルコールで洗脳され、家庭が崩壊した人が結構いるらしい。私は選ばれなくて、良かった」
「九州に、子供をあづかる施設を、久慈マリアが経営していると聞くが…」
「その施設は、実際にない。口実で、子供を預けさせて、人身売買…。反社会的勢力とつながっているとか」
屋根裏部屋。
「一年前、久慈マリアが志麻子の家を出ていった後、行方不明」
「久慈マリアが放火犯だとして、動機はなんだと思いますか?」
「命令に従わない志麻子に、久慈マリアが恨みを抱いたから、とか」
「火事にあった家は、マリアの所有権。自分の家に火をつけるか?マリアは理性的な人間。だから、何かメリットがないと、放火とかする人物とは思えない。私は、久慈マリアが放火犯だとは思えない」
「誰がいったい、志麻子の家に火をつけたのか?」
「ちょっと私は、一人心当たりがある」
志麻子の部屋の映像。
アルファベットの文字プレートを並べる志麻子。
「EVIL(邪悪)」と並べる。
再び、脳科学者の苫米地英人氏の話。
「洗脳状態の時は、違う人格になっている。人格というのは、本人の今の判断と記憶の二つから成り立っている。本人の判断は教義で変えられている。カルト教団の場合は、入信する前の記憶を消す。電気ショックや薬物、暗示などが使われる。記憶と判断システムが変われば、他人の人格になる。(脳洗脳の場合でも)特定の人格に成りきらせ、トリガーを探すことがある」
2012年9月17日。
アパートに入っていく映像。
みなみが尋ねた家は、志麻子の元夫である五十嵐孟。
孟は、志麻子と離婚後、証券会社を退社。
以来、孟は職を転々とし、今は運送会社のトラック運転手。
別居後も、志麻子に執拗につきまとい、離婚裁判では二度と志麻子の住居に近づかないという判決が出ていた。
「志麻子が、ある人に精神的に支配されている状態になっていて、それは結婚生活を送っていた時もそうだっだのですよね?」
「それはね、離婚の原因だと僕は思っています」
「しかし、離婚の原因は、孟さんの浮気ではないのですか?」
「信じてもらわなくてもよいが、僕は浮気なんかしてません。はめられたんです、あの女に」…あの女とは?
「火災の時は、どこで何をしていた?」
「疑っているんですか?」
タバコを吸う、孟。
「あなたにこんなこと言っても仕方ないが、僕は今でも愛しているんです、志麻子と乃理のことを。守ってあげたいと、いつも思ってる。心の中には、昔のままの家族がいる。だから、何があっても僕が家族を守る、絶対。だから、僕が家に火をつけることはありません」
玄関の掲示板に貼ってある写真のアップ。
その写真の一枚に、孟に寄り添う女性が写っている。
(隠れて見えないが、乃理くんも写っている。また、後ろに二つの人影が写っている)
ドアが閉められる。
公園のベンチと思しきところで、孟の証券会社時代の同僚にインタビュー。
みなみの腕時計がアップになるが、あんまり関係ないか…?
「五十嵐さん(孟)は、どうして会社をやめたんですかね?」
「ある女性との不倫関係になったためかと、だが五十嵐さん自体は否定。女性の方が不倫の事実を認めてしまって、それが理由で会社をやめた。その女性は音信不通」
再び、志麻子の部屋の映像。
「マリア様に謝らないと…」
屋根裏部屋にて、その映像を見ていたみなみが、鏡に乃理くんが映っているように見えると指摘。
「別の影が、子供の影に見えるのでしょう」
「ですよね…」
みなみのインタビューの報告。
「火災のもとになったタバコが、孟の吸っていたタバコの銘柄と同じで、火災当日のアリバイがない。しかし、志麻子のことを恨んでいるようには思えない」
「放火したのが、孟にせよ、久慈マリアにせよ、証拠がないと…」
再び、志麻子の部屋の映像。
アルファベットの文字プレートを並べる志麻子。
「EVIL IRON(鉄)」と並べる。
2012年9月18日。
「今日は、久慈マリアに会う前のあなたについて聞きたいと思います」
「夫は忙しくて、家に帰ってこなくて…いつも子供と二人で、寂しい毎日でした。体が弱くて、よく熱が出て、落ち着きがないから、幼稚園の入園式の時に、うれしくて走り回って、ステンと転んで、机の角に頭ぶつけて、救急車で運ばれた。主人もびっくりして駆けつけて、仕事中に。乃理が可愛そうだから、3人でお祝いして、楽しかった」
「でも、楽しい生活が、いつから変わったの?それは久慈マリアに出会ってからだよね。あなたは、乃理くんまでも、久慈マリアに差し出した」
「違う!」
「あなたは、躊躇したよね。けど、一瞬でも、手放そうとしちゃった」
「やめて!違う、違う…」
泣く、志麻子。
突然立ち上がる、志麻子。
「乃理の足音がする…」
乃理を探す、志麻子。
「乃理くんはいません。乃理くんは死んだの!」
<この時、カメラはある現象を記録していた。志麻子さんが聞いたという足音、それは幻聴ではなかった。ビデオカメラには、確実に子供の足音が録音されていた。そして、子供の笑っているような声も>
屋根裏部屋で、霧花とみなみが、カメラ映像を見ている。
「どういうことなんでしょうか。子供の足音みたいなのが、はっきりと。死んだ乃理くんがお母さんに会いに来たんですかね」
「鷲巣さんも、そういうこと信じるんですか?マンションの上の階の音じゃないですか?外からの音が聞こえたんじゃないですか?私は、こういうオカルト的なこととか、霊的なことを議論することは不毛だなと思う。洗脳された方は、精神が不安定になる。幻覚、幻影を見るという症例は多い。志麻子さんは今そういう状態」
うなずく、みなみ。
2012年9月25日(一週間後)。
アルファベットの文字プレートを並べる志麻子。
「EVIL IRON IMAGE」と並べる。
その映像を見ている、霧花とみなみ。
机に置かれた本は、心理学的測定法 田中 良久 著だと思われる。
「邪悪の、鉄の、イメージ。これって意味があるんでしょうか」
「洗脳者というのは、被洗脳者に対して、意識下の深層心理に何か強いイメージとか、言語を投げかけて、洗脳する。鉄って、絶対服従の証って言われている。人類の創造神プロメテウスはゼウスの怒りを買って、鉄の鎖で縛られて、大鷲に肝臓をついばまれるバツを受けた。許してもらうが、鎖で作った指輪をはめさせられた。彼女の真相意識の中に、マリアへの絶対服従が残っているのでは」
マンションの外で、カメラに向かってしゃべる、みなみ。
「志麻子は、元の状態に戻る気配がない。自分にできることは、火災の原因をつきとめることだと考えている。私は絶対に、志麻子を助けたいと考えている」
2012年9月26日。
トラック運送会社。
運送会社の人に、みなみが話しかける。
「こちらで、五十嵐孟さんという方が働いていると思うんですが。」
屋根裏部屋、霧花とみなみ。
「五十嵐さんの職場に行ってきました。ちょっとした事実がわかりました。火災の日の夜、五十嵐さん、行きつけのスナックに一晩中いたとスナックのマスターが証言。五十嵐さんにアリバイあった。ということは、久慈マリアが犯人?」
「その可能性は高まった」
<だが、その後、さらなる意外な事実が判明する>
長野県山中で、久慈マリアが首を吊った状態で発見されたというニュース。
警察は、自殺と断定し、死後1年としている。
現場近くの国道沿いにあるコンビニの防犯カメラ映像、店内に久慈マリアがいるが、よく見ると外にトラックが見え、誰かが歩いている。
2012年3月23日(久慈マリア死亡の半年後)の映像に、孟が勤めていた運送会社のトラックが停車しているのが見える。
火事があった日、すでに久慈マリアは死亡していたし、孟にもアリバイがあった。
屋根裏部屋、霧花とみなみ。
「いったいどういうことなのか?あの火災は、放火ではなかったのか。天罰なのか?久慈マリアの怨念が志麻子の家を焼き尽くしたのか?」
「天罰とか、怨念とか、非科学的なことが不毛な議論であることは、前にも言いましたよね。」
「そうなんですけど…」
「まぁ、いいですよ。これではっきりしましたからね。久慈マリアでも孟でもない、いったい誰が志麻子の家に火をつけたのか。これではっきりしましたよ」
「誰なんですか?」
「すぐに、すべてが明らかになるかも…」
2012年9月28日。
部屋に、志麻子と霧花がいる。
「今日はね、火事があった時のことを聞きたいの。火事があった日、あなたは何時に帰ってきた?」
「覚えてないです」
「思い出してみて」
「覚えてないです」
突然、立ち上がって志麻子を殴りつける霧花。
「答えなさい」
「小田島さん、ちょっと!小田島さん、大丈夫ですか」
「思い出してみて。あなたにとって大事なことなの。あの日何時に帰ってきた?」
「お店が終わって、家に帰ってきたのが、2時くらいだと」
「それからどうしたの?」
「疲れていたから、すぐに寝ました」
「タバコは吸わなかった?」
「タバコは、私は吸わないです。寝てたら、急に苦しくなって、気づいたら家の中が火で包まれていて、乃理を助けないといけないから乃理を必死に探して…乃理が見つからなくて、気づいたら病院にいた。死んだって…」
志麻子にカメラを向ける、みなみ。
「なんで、火事は起きたんだろうね。火事の原因は、タバコの火の不始末なんだよ。あなたがタバコを吸っていないのなら、誰かがあなたの家にタバコの火を投げ入れた。私は、久慈マリアと孟があやしいと思った。だけど、孟にはアリバイがあった。久慈マリアは火事の時には亡くなっていた。マリアは家を出た後、山の中で首吊り自殺をしていた。久慈マリアはこの世にいない。誰かがあなたと乃理くんを殺そうとして、タバコの火を投げ入れた。」
「誰?」
「教えてあげましょうか。それはね、あなたのことを憎くて憎くて仕方のない人。あなたが洗脳されているのが楽しくてしょうがないの。あなたの家族が不幸になっているのが愉快でしょうがない。あなたが親友だから心配だとカメラで追い回して、あなたを見世物にしようとして企んでいる。」
カメラを見る、志麻子と霧花。
「あなたなんでしょう?志麻子の家に火をつけたの、鷲巣みなみさん!」
「何言っているんですか。本気で言っているんですか」
みなみがカメラを霧花に向ける。
「あなたは、高校時代からずっと志麻子のことが憎かった」
立ち上がる霧花。
「そうでしょう?志麻子にコンプレックスを持っているから。唯一の優越感は、あなたは幸せな家庭で育ち、志麻子は両親が亡くなって親戚の家を転々としていた。しかし、志麻子が一流の証券マンと結婚したので、憎くて憎くて仕方がなかった」
「違いますよ。確かに志麻子は美人だから、羨ましいと思ったことは何度もある。でも、志麻子は親友だから、恨んだことは一度もあるわけない」
「本当のこと、言って」
「助けたいと思ったから…」
「あなたは、タバコを吸うでしょう。あなたは、自分の吸っていたタバコを志麻子の家に投げ入れた。カメラで追っているのは、自分の犯行がばれるのが怖いから、監視しているのでしょう?」
「ちょっと待ってくださいよ」
「あなたが、放火って言い始めたでしょう。放火というキーワードを出して、自分が容疑者からはずれようとしたでしょ。それは間違っているから。私はピンときた」
「違いますよ」
「言いなさい」
志麻子が立ち上がり、霧花の後ろに近づく。
「もういいでしょう。みなみさん。アンオワインドゥ(アンワインド?)!(この部分はよくわからない)ちょっと手を貸して。おとなしくして。これ何?」
腕のやけどを確認させる。
「あなた一体誰なの?答えなさい!」
「アンモアリョッサー(アンワインド?)!」
霧花発狂し、倒れ込む。
「アイデンティティの崩壊が起きました。心配しなくて、大丈夫です。予定通りですから。元の人格に戻りました」
いつもの志麻子の部屋の映像だが…そこには志麻子ではなく霧花がいる。
独り言を言う霧花。
志麻子の部屋の映像を見ている、志麻子とみなみ。
「志麻子って、今どういう状態ですか?」
ここで、志麻子と霧花が入れ替わっていたことが判明。今まで心理セラピストとして振る舞っていた霧花が実は志麻子であり、強い洗脳状態にあった志麻子が実は霧花。
「小田島霧花の人格は、完全になくなったと思っていいと思う。ただ、久慈マリアに支配された状態というのは取り切れていないので、洗脳が取り切れていない状態です」
2012年4月24日(5ヶ月前)。
部屋に、志麻子と霧花がいる。
「どんなお花好きですか?」
「金木犀」
「乃理くんはどんな子だった?」
「乃理は、幼稚園の入園式の時に、すごく嬉しくて、走り回っちゃって、転んじゃって、頭から血を流して、結局入園式に出られなくなった」
…順調に、志麻子さんの洗脳は、解かれているかと思われたのだが…。
別の日。
泣き叫ぶ、志麻子。
「なんで、乃理だけ死んじゃったの?」
なだめる、霧花。
…そして、この後、信じられないことが起こった。
「洗脳者は、人間の意識の闇の部分に埋め込まれた心的外傷、つまりトラウマを巧妙に操作して、洗脳者が支配者である新しい現実を作り上げる。私の脱洗脳の方法は、相手と対話を繰り返すことによって、その操作されたトラウマの部分、それを探り当てて、元の状態に再構築する。しかし、今回、その過程の中で、副作用が生じた。混乱した志麻子の脳内に、小田島霧花の人格が生まれてしまいました。しかし、脱洗脳の過程の中で、こういった副作用は珍しいことではない。そこで私は、この人格転移を利用して、治療を続けることにした。3ヶ月間、私は志麻子を演じ続けた。この役割を交換して行う治療によって、ある一定の効果が生まれたと言える。志麻子は、自分自身を客観的に見ることができ、また私(霧花)という他者になりきるということで、久慈マリアという存在を、別の視点から捉え直すことができた。私(霧花)という人格になっているとはいえ、志麻子の口からはっきりと久慈マリアを否定する言葉が出た。これは、脱洗脳がある一定の成果を上げたということ」と、霧花。
屋根裏部屋に、霧花とみなみ。
「でも、まだ洗脳されているんですよね」
「洗脳が解けるまで、そんなに時間はかからないと思う。志麻子の洗脳が解けた時に、すべての真実が明らかになると思う」
「その時に、私達の計画が実行されるわけですよね」
志麻子の部屋の映像。
「ごめんね」
独り言を言う志麻子。
2012年10月3日(5日後)。
スナックの店内へ入る、みなみの映像。
運送会社へ向かう、みなみの映像。
屋根裏部屋に、霧花とみなみ。
「新たな事実が判明した。火事の時の映像に、孟の運送会社のトラックが映っていた。また、孟はずっとスナックにいたことにしてくれと、スナックのマスターに頼んでいた。だから、孟のアリバイは偽装」
運送会社でのインタビュー映像。
「五十嵐さんの両腕に火傷の痕がある。半年前くらいに、シャワー室で見た」と従業員が話している…後ろからこちらを見ている人影、おそらく孟。
屋根裏部屋に、霧花とみなみ。
「絶対、孟は現場にいた。孟が火をつけたのでは?」
「もうすぐ志麻子の洗脳が解けるので、真相は志麻子の口から聞けると思います」
2012年10月10日。
部屋に志麻子と霧花がいて、カメラを向けるみなみ。
「志麻子さん、私に教えてくれましたよね。久慈マリアは死んだって。志麻子さんの心を占領していた久慈マリアはもういませんよ。志麻子さん、あなたは解放されましたよ」
志麻子を抱きしめる霧花。
「もうあなたは自由ですよ。まだ完全じゃない。あなたには何かが取り憑いてる、か弱き存在が。いつもあなたのそばにいる。あなたも知っている」
「いやだー!」発狂する志麻子。
逃げる志麻子を追う霧花。
「あなたには、幼い子どもの霊が取り憑いてるね。あなたの真実、聞かせて。あなたは乃理くんのことを愛していましたか?答えて」
「愛してた。私の全部だったの。私の宝物だったの」
「じゃあ教えて、志麻子さん。火事の日、なにがあった?」
「覚えてない!本当に覚えてないの!」
「思い出してみようか。乃理くん、ずっと苦しむの」
「いやだよー。覚えてない!」
再び、部屋の中を逃げ回る志麻子。
執拗に、質問攻めする霧花。
「あの日のことがわからないと、乃理くんがずっと苦しむんだよ」
志麻子の目を見つめる霧花。
「私が、乃理を殺したんだ…」
「なにがあった?」
「あの日、私、すごくお酒飲んでたの。なんかどうしていいのかわからなくて。孟が置いていったタバコ吸ったの。初めて吸ったの。いつの間にか記憶がなかったの。起きたら、煙と火。私が殺したんだよ…ごめんなさい。なんでマリアに出会っちゃったんだろう。マリアが全部グチャグチャにしたんだよ。私が弱かったから。乃理、ごめんなさい!」
突然、台所へ走る志麻子。
置いてあった包丁を手に取り、おもむろに自分の手に当てる。
「死なせて!お願い!」
必死に志麻子を止める、霧花とみなみ。
志麻子から包丁を取り上げる。
「私が全部悪いんだ。私が弱かったから」
「志麻子さん、もう一回聞いてもいいかな。乃理くんのことを愛していましたか?」
「はい。愛してました」
志麻子は立ち上がり、再び包丁を手にし、左手首にあてがう。
「死なせてください」
「それがあなたの真実ですね」
「はい」
「止めませんよ」
「ちょっと、ちょっと」
見上げる志麻子。
暗転…【2012年10月10日、被洗脳者 江上志麻子の治療終了 強烈な洗脳状態にあった 江上志麻子の精神は 正常な状態に復元することに成功した 施術者 小田島霧花】
「あなたには真実が見えましたか?」
~エンドロール~
2013年4月10日(半年後)。
あるアパートの映像。
扉を開けると、志麻子が迎え入れた。
「いらっしゃい。ひさしぶり」
「撮らせていただきます。ここ住みやすそう。もっと片付いていないかと思った。」
テーブルの裏側が見え、そこに盗聴器のようなものが見える。
「元気だった?」
「おかげさまで、ありがとう。みなみのおかげだよ」
「そんなそんな」
「おかえり~」
扉の方を見る、志麻子。
「おじゃましてます」
「ちゃんとご挨拶して」
「こんにちは」
…ここから、志麻子が再び包丁を手にし、左手首にあてがう場面に戻る。
志麻子は包丁を持ったまま立ち上がり、ソファの方へ。
するとそこには、子供の姿が。
子供は、乃理。
包丁を落とす志麻子。
「ママ!うわーん」
志麻子に泣きながら抱きつく乃理。
それを見守る霧花とみなみ。
「EVIL IRON IMAGE」と並べられたプレートが、右から左へ映し出される。
火事の現場の映像。
野次馬がスマホで火事の現場を撮影している。
トラックが映っている。
アパートの孟のインタビュー映像。
「僕は今でも愛しているんです、志麻子と乃理のことを。守ってあげたいと、いつも思ってる」
火事が起こった家の監視カメラの映像。
家から煙が出ている。
孟が家の中に入る。
運送会社の孟の同僚のインタビュー映像。
「五十嵐さん、両腕にすごい火傷の痕があるのを見ちゃって…」
火事が起こった家の監視カメラの映像。
孟が志麻子と乃理を家から担ぎ出した。
そのまま、どこかへ行ってしまう孟。
その後、二人が志麻子と乃理をその場所から担ぎ出した。
みなみがカメラに向かって言う映像。
「私は絶対に、なんとしてでも志麻子を助けたいと考えています。彼女が立ち直る日まで」
久慈マリアの死亡現場近くの、国道沿いにあるコンビニの防犯カメラ映像、店内に久慈マリアがいる。
喫茶店の席で、久慈マリアの料理教室に通っていた主婦のインタビュー映像。
「警察が動いているぞみたいなことを言った人がいたらしくて、その人に話を聞きに行くからと言って出ていってから、全然姿が見えなくなった」
再び、アパートの孟のインタビュー映像。
「もう会えないかもしれない。それでもいいんです。心の中には、昔のままの家族がいる。だから、何があっても、僕が家族を守る、絶対に」
再び、コンビニの映像。
久慈マリアがコンビニから出る。
よく見るとコンビニの外にトラックが見え、誰かが歩いている。
孟と思われる人影が、久慈マリアの後を追ったようだ。
久慈マリアの死亡現場には、タバコの空き箱のクズが残されていた。
再び、志麻子のアパートの映像。
カメラが、窓際を映す。
トラックに乗った男性が、志麻子のアパートを見ている。
【この映像は取材者である、鷲巣みなみさんの希望により放送禁止となった】
私の感想。
すでに、ほかのサイトで、この放送禁止 劇場版 洗脳~邪悪なる鉄のイメージ~のネタバレの情報が紹介されていますね。
それを見ていたら、自分はまだまだきっちり見ていないなと思いました。
それは良いとして、素直にこの作品を見れば、志麻子の友達のみなみとセラピストの霧花による、志麻子の脱洗脳の過程のドキュメンタリー映像だな、と思うわけです。
もちろん、それは表の話で、隠された真実があるわけです。
なぜ、この映像が、みなみの希望により放送禁止となったのか?
みなみに、放送してほしくない理由があったのでしょう。
けど、この放送禁止 劇場版 洗脳~邪悪なる鉄のイメージ~は、話がややこしい上に難しい!
まぁ、霧花とみなみによる志麻子の脱洗脳からの再びの洗脳なんだろうと思うんですが…。
で、参考になるのが、こちらのサイト。
時系列がまとまっていて、よくわかりました。
なるべく自力で謎解きをしたかったんですが、私の頭じゃちょっとね。
あとは、自分なりの考えをつらつらと…。
まず、孟は久慈マリアの計略に引っかかり、不倫疑惑をかけられてしまい、志麻子と離婚し、退職。
久慈マリアは志麻子親子に近づき、乃理を奪い取ろうとする。
しかし、志麻子に躊躇され、失敗。
孟に呼び出され、自殺に見せかけ殺害されてしまう。
霧花とみなみは結託していた。
みなみは志麻子を妬んでいて、志麻子の家に火をかけた(タバコの火)。
それを久慈マリアや孟のせいにしようとするが、志麻子はみなみが火をかけたことに気づいていた。
火事の時、孟は志麻子と乃理を救出。
が、孟は接近禁止命令のため、救い出したもののすぐにその場から離れた。
そこへ、霧花とみなみが志麻子と乃理を運び出す。
そのままにしておいたら、志麻子にしゃべられてしまうので。
霧花は、洗脳により、志麻子に霧花の人格を植え付けた。
乃理も、霧花による洗脳で、前後不覚だったのでは?
霧花たちは、志麻子自身がタバコの火の不始末により火事をおこし、乃理を死に至らしめてしまったという間違った思い込みを志麻子に抱かせた上で、自責の念を持たせた。
そうした上で、本当に乃理を愛していたのかという確認を志麻子にさせ、志麻子は乃理を愛していると言った(言わせた)。
霧花たちは、志麻子からその言葉(乃理を愛している)を聞きたかったと言わんばかりに、実は乃理は生きているんだよと、志麻子を乃理と対面させて、親子の愛を確かめた風(ふう)にした。
ドキュメンタリーとしては、脱洗脳と親子愛をテレビ局で放映させたかったものの、霧花とみなみの企みが、映像の端々に映っていたので、みなみの申し出により放送禁止になった…という感じですかね。
特に、志麻子から霧花の人格が抜ける時、みなみにあなたがタバコの火を投げ入れたと詰め寄る部分は、真実か真実に近いところなので、テレビで流してほしくなかったんだと思います。
でも、やはりわからないことはポロポロ出てくるわけで、例えば、孟は志麻子と乃理の状態をどこまで知っているのか。
孟は、志麻子と乃理を霧花やみなみから守るため、家の近くで見守っていたのであれば、少なくとも志麻子が洗脳状態になっているとわかった時点で、志麻子の家に踏み込まないものか…?とか。
皆さんは、この作品を見てどのように思いましたか?
「あなたには真実が見えましたか?」
以上、「ネタバレ注意 放送禁止 劇場版 洗脳~邪悪なる鉄のイメージ~考察というか感想」でした。