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長江俊和さんの著書「出版禁止 いやしの村滞在記」考察(ネタバレ注意)

こんにちは、ショウヘイです。

長江俊和さんの著書「出版禁止 いやしの村滞在記」を読みました。

出版禁止 いやしの村滞在記

出版禁止は、シリーズ化していて、今回は第3弾です。

個人的な考察です。

ネタバレがありますので、ご注意ください。

出版禁止と放送禁止

この出版禁止は、長江俊和さんが書いています。

長江俊和さんといえば、放送禁止シリーズで有名な方です。

放送禁止 DVD封印BOX

放送禁止シリーズは、フジテレビの深夜に放送されていたドキュメンタリーに見えるドラマです。

とある理由で放送できなかったドキュメンタリー映像を、フジテレビの倉庫の中から見つけてきて、それを放映するという設定のドラマです。

放送禁止シリーズの面白いところは、ドキュメンタリーの映像を別の視点から見ると、まったく違う事実が浮かび上がるというもの。

私は、そんな放送禁止シリーズなど、長江俊和さんの作品が大好きです。

そんな放送禁止シリーズを手がけた長江俊和さんの著作、出版禁止

その第1弾は、すでに読みました。

第2弾は、「出版禁止 死刑囚の歌」です。

現在、第1弾第2弾とも新潮文庫で文庫化されています。

どちらも大好きです。

で、今回が出版禁止シリーズ第3弾というわけです。

出版禁止 いやしの村滞在記の考察

ここから、出版禁止 いやしの村滞在記の考察に入ります。

考察は、間違っていたらごめんなさい。

これより、ネタバレになりますので、見たくない人は気をつけてください。

ページと、私が気になった事柄や思ったこと。

カバー カバーの花畑の絵はシンメトリー(左右対称)になっている。

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カバー カバーの花畑の大部分を占める青い花は、 ブルーボネット。また、ところどころに咲く赤い花は、カスティレヤ・インディウィサだと思われる。ブルーボネットの花言葉は「母性愛」、カスティレヤ・インディウィサの花言葉はちょっと不明。

www.atariya.net

帯 帯に、「呪」という文字を禁じるようなマークがある。まるで、呪いを封じるようなマーク。

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表紙 表紙の左下に、「いやしの村滞在記 いやしの村・編 発行いやしの村 発行日2010年11月28日」と書いてある。

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いやしの村の滞在記を、いやしの村が編集して、いやしの村が発行しているという違和感

裏表紙には大きく「いやしの村滞在記」と書かれている。

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まるで、裏表紙が表紙のような作りになっている。

おことわり

P2 未だ解決できていない事件とは

P3 「いやしの村滞在記」という書籍には、ある意味の呪いが仕掛けられていた

P6~8 基本的に、ひとつひとつの事柄について「そんなことはない」で打ち消す詩。ただ、殺生については「絶対にそんなことはない」となっている。また、詩の最後から最初へと逆に読むことも可能…

取材を終えて

P9 この取材をしたのは誰か

P9 赤ん坊が生まれた、誰と誰の子か

P9 取材者の知人が不慮の事故で亡くなった

P9 世界が反転したような感覚とは

P10 崇高な死を遂げたあの人とは誰か

P10 詩は、ある一人の村人が書いたもの

素数蝉の理

P11 「素数蟬の理」の表題は黒ゴシックで書かれている。また、この「素数蟬の理」では「一」「二」というふうに漢数字で話が区切られている

P13 取材者は村へ行く途中、雨に降られる

P13 施設の入口の駐車スペースに停められたSUV

P14 風呂場は男湯と女湯に分かれ、取材者は左の暖簾をくぐって風呂に入った

P15 取材者を案内した女性の名は、ミチルで30代半ばくらい。ミチルは「満ちる」とも書けるが…

P17 取材者の名は佐竹

P17 いやしの村代表の名はキノミヤマサル

P20 キノミヤは、長髪で無精髭のガタイのいい30代後半ぐらいの男性

P21 ジュウシチネンゼミ、素数蝉

ja.wikipedia.org

P22 村人ナカバヤシ、小太り中年男性

P22 村人アガツマ、60歳超の白髪老婦人

P23 素数蝉は神の仕業とも言える?

P23 村人ミカジリ、独特の雰囲気を持った長髪のきれいな女性

P24 村人ミナミヤマ、50代くらいの男性

P25 違う周期の近隣種と交雑する確率が少ない。純血を保ちやすい

P27 素数蝉は、天敵に出会いにくく、生き残りやすい

P28 素数蝉も人間の出会いも偶然ではなく必然ではないか。神様の仕業ではないか。人間の出会いは、もうすでに全部決まっているのではないかという、キノミヤの話

P32 キノミヤは村人たちの力を借りている

P32 キノミヤは会社を潰した

P34 いやしの村は5年前からある

P34 村人は泊りがけで遠出することがある

P37 キノミヤの本性とは、どんなものか。それを知りたいと思う取材者佐竹の思惑は

P38 村人シンギョウジ、会社を乗っ取られた60代男性

P41 キノミヤは、シンギョウジに会社を乗っ取った人を一生恨み続ける決意があるか問いただし、シンギョウジはもう一度考え直してみると言った

P42 村人サクラヅカ、元夫に子供を奪われた40代小柄女性

P49 キノミヤは、サクラヅカの憎しみを分かち合うと言った。シンギョウジにかけた言葉とちょっと違って、サクラヅカにキノミヤは手を差し伸べている感じ

P50 村人ユウナギ、ミュージシャンの元カレに裏切られた、洋菓子店の元店員29歳女性

P52 村人ニシキオリ、部下に裏切られた元商社マン40代男性

P56 P23で登場の村人ミカジリ、元カレにリベンジポルノをされた元教師32歳女性

P61 ミカジリの夢は何?

P63 村人ミナミヤマ、娘を交通事故で失った男性。立ち直って村を出た。なぜ立ち直ることができたか?キノミヤへの恩とは?

P63 村人への取材で見出された共通項から導かれた、佐竹の推論とは何か?

P64 「瑞江古道」という名の古道は、私が調べた限りは実在しないみたい

P65 酒内湖、一応読み方は「しゅないこ」だが…

P66 周回路、湖の時計回り

P66 佐竹が取材するきっかけとなった酒内湖での事件。2008年12月、遺体の断片40以上が湖の木々に打ち付けられていた。その遺体は20代から50代の男性のもの。未解決事件

P69 湖の近くの空地に、石碑

P71 キノミヤがいないので佐竹を車でバス停まで送ることができない。しかし、SUVはあるので、それを使えば送ることができそうだが、SUVは埃を被って使っていないようだ。なんのためのSUVなのか?

P72 奈良県Y市、大和郡山市か大和高田市のどちらか

P73 酒内湖の近くの空地にあった石碑は、呪禁師(じゅごんじ)の墓

P73 典薬寮

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P74 呪禁師は、病気や災難の原因たる邪気を祓うまじないをする

P74 酒内湖の近くにかつて酒内村があった。呪禁師の末裔が住んでいて、彼らが呪禁師の石碑を建てたらしい

P75 「地史研究」加賀峯郎

P76 酒内村に入る目印は祠と地蔵尊で、明治以降に作られたもの

P77 酒内湖は時計回りの方向に進まなければ、災いが起こるとされた

P78 酒内村では、女性を中心とした宗教集団が形成されていた

P79 酒内村では、恨みを抱いた者が訪れ、呪術による復讐が行われていた。呪われた者は、突然病に冒されたり、不慮の事故で命を落としたという

P80 厭魅、相手を人形に見立てて行う呪詛法。蠱毒、毒虫や爬虫類を操り、相手を死に至らしめる呪術。呪禁師は、特に蠱毒が得意だったらしい

P81 百年祭、次の百年の豊穣と安寧を願う祭。百年ごとの定められた年以外は儀式を行ってはならない

P82 百年祭は秋、新月の日に行われる

P82 巫女は、血筋の者でなければならない。宮司は、血筋は拘らないが襲名する必要がある

P82 百年祭の儀式には呪いの力が不可欠。儀式後には、さらなる神の力を得て依頼された呪詛行為に活用

P82 百年祭の贄は、人身御供。要するに生贄(いけにえ)。贄の条件は、4つ

  • 村の出生者でない
  • 肉体に著しい欠損や病などがない
  • 巫女を崇拝し、心を託す者
  • 過去に殺人などの恐ろしい罪を犯し、良心の呵責にあえぐ者

P83 百年祭の贄は、生きたまま49体に分割。宮司は鐘を鳴らす。百年祭においてのみ、酒内湖を反時計回りに歩かなければならない。これを、逆打ち(さかうち)という

P84 倭文神社(しずりじんじゃ)恩智神社は、ともに実在の神社

P85 四十九日餅。餅はそれぞれ人体の部分を表しているという。実際、餅は通販で売られていたりする

P85 お遍路の逆打ち。衛門三郎伝説

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P86 東尋坊雄島。逆回り禁止

P86 逆さ事の風習は、生の世界と逆転した、死の世界の表象

P87 酒内村は「逆打ち」が行われることから「さかうちむら」であるという証言

P87 百年祭の贄以外は、村人による殺害行為は禁止されている

P88 「地史研究」は1977年5月にまとめられたもの

P89 村人ニシキオリは、P52に登場した、部下に裏切られた元商社マン40代男性

P91 酒内湖の事件が百年祭だとすると、百年祭が行われたのは2008年。この取材は2009年。

P92 「ろろるの村」は、カタカナにすると「ロ」「ロ」「ル」で、組み合わせると「呪」という字になる

P94 村人の共通点は、誰かを恨んでいること

P95 佐竹が見る限り、村人は呪術的なことをしている様子がない

P96 2008年に百年祭が行われたとしたら、それを行った理由は何か。また、生贄は、誰か

P96 事件よりも前に、小野田の自宅を訪れ、同じように「地史研究」を借りたルポライターがいる

P98 佐竹が「呪い」について追求せざるをえない個人的な理由とは、何か

無垢の民

P99 「無垢の民」の表題は白色の明朝体で書かれている。また、この「無垢の民」では「1」「2」というふうに算用数字で話が区切られている

P100 あれから十日ほどとは、いつから十日ほど?そもそもこの章を書いているのは誰か

P100 いやしの村が酒内村と関連するならば、呪いやそれに関連するような話は禁じられている可能性が高い

P101 60歳ほどの品の良さそうな女性。関西弁の受け答えから、おそらくアガツマ。親戚に騙されて夫の遺した財産を身ぐるみはがされた。この章では、キノミヤ以外の村人の名前がカタカナで出てこないか、名前は伏せられている

P105 桓武天皇、遷都

ja.wikipedia.org

P105 崇徳天皇、保元の乱

ja.wikipedia.org

P107 鉄輪

www.the-noh.com

P108 呪いは弱者にとって、ストレスを治癒する役割を果たしていた

P109 前章にも書いたように…前章とは

P109 ある一つの偶然…偶然か

P109 都内で輸入関係の会社経営している青木伊知郎との出会い

P110 青木伊知郎は、30〜40代の長身。編集者石川の知人。偶然出会う

P110 ルポライターである私

P111 青木伊知郎の妻、青木朔。旧姓は藤村朔で、私の同級生で、先日心不全で亡くなった

P113 青木伊知郎は、朔が殺されたと思っている。それは、いやしの村の呪いで殺されたのではないかと思っている

P115 青木伊知郎は、朔がいやしの村に監禁されていて、連れ戻したと言う

P116 朔は、もし自分に何かあったら、ルポライターの私(この章の私)に相談してくれと、青木伊知郎に頼んだらしい。

P117 村人で、朔のことを知っている人はは皆無

P118 キノミヤは何日も外出して施設にいないことがよくある

P120 キノミヤは、体調を崩している

P121 キノミヤは、私の体調を気にしている

P122〜127 私は、いやしの村で呪術が行われているのか、酒内村と関連があるのかなどをキノミヤに問いただすが、否定される

P129 キノミヤは、朔の死が呪いによるものだということも否定

P130 村人が私に手荒なことはしないという確信とは

P131 私と朔が出会ったのは15年ほど前

P131 私と朔は元クラスメート

P132 朔と一緒にいた茶髪の男は誰か

P135 「運命は変えられるか」という朔の言葉

P139 朔からもらった幸せを呼ぶ丸い貝。せを呼ぶ…漢字を組み合わせると…

P139 朔は、援交の噂を認めた

P140 朔は、茶髪の男に支配されて逃げ出せない。殺してしまうかもしれない、という

P141 朔は、私に助けを求めた

P141 朔は、学校を辞めた

P141 茶髪の男は、川で水死体となって発見された

P142 5年前に朔に出会う。朔は、会社勤めで、数年後に予定している大きな事業に携わっている。大きな事業とは

P143 村人山下、50代女性

P144 キノミヤが言う「こんな大事な時期」

P144 「例外のない規則はない」

P145 論理矛盾、パラドクス

P145 アキレスと亀

ja.wikipedia.org

P147 パラドクスとは、一見もっともらしい前提から出発しながら、矛盾や常識に反する結論に導く論法

P148 モルヒネやヘビの毒の話。時として毒は薬にもなる

P148 生命が生き続けるためには、ほかの生物の命を奪い続けなければならない

P150 村人山下が施設を出る

P150 ジャージ姿の小柄な女性、名前は書かれていないが、ユウナギ

P151 ユウナギ手作りのアップルパイ

P153 村人は、呪術を使うふりをして、実際はもっと別の物理的な方法で復讐相手を殺害しているのかもしれない

P153 無垢の人々。ここで、章題の「無垢」という言葉が出てくる。「無垢」とは、「煩悩のけがれがないこと。汚れがないこと。うぶ」などの意味

P154 なぜ村人は、ルポライターの私の体調をそこまで気にかけてくれたり、気を遣ってくれたりするのか

P154 野瀧、元理髪店経営

P156 野瀧は古株で、取材できていなかったが、1ヶ月たってようやく取材できた

P157 野瀧は、娘を交通事故で車に轢かれて亡くした。車の運転手は、一言も謝らなかった。恨みがある

P159 野瀧は、キノミヤの力になりたいと思っている。自分ができることなら何でもする、と

P159 野瀧から私に、朔の話を振られる

P159 野瀧によると、朔は夫の青木の手により無理矢理村から連れ出されたらしい

P161 野瀧によると、村人は私が村に来てくれたことに本当に感謝している

P164 村人は、私が村出て行くのを引き止めた

P164 キノミヤいわく、「きっとまたいつか会える日がくるのを信じています。くれぐれもお身体を大切になさってください」

P166 青木伊知郎とコンタクトが取れなくなっている

P167 編集者石川も、青木のことをよく知らないという

P167 青木との出会いは、仕組まれたもの?

P169 青木の会社は何ヶ月も、人の気配がない

P171 3年前あたりから青木は突然人類が滅びるとか神様が見えるとか世界を破滅から救うとか言い出すことがあったらしい

P171 青木は大きな事業に携わっていると言っていた

P172 トリカブト

ja.wikipedia.org

P173 青木が、私を実際にいやしの村へ行かせた理由

P175 「呪いの考察と研究」という冊子が私のもとに送られてきた。なぜこれが送られてきたのか

P178 祝いと呪いは限りなく同一の行為

P180 呪いは意義のある行為

P184 神は実在し、この世界を動かしている

P184 神の存在と呪いにより、願いは叶う

P186 私が図書館で見かけた60歳ほどの男性。シンギョウジP38参照

P187 今度は、「呪いの考察と研究 実証編」という冊子が私のもとに送られてきた

P190 エステバニー実験

kikoh-salon.com

P192 人間の思念によって相手に危害を加えたり死亡させたりするのも不可能ではない

P193 この世界を構成しているものは、全てが密接につながっている。私たちは「見えない糸」で全てのものとつながっている

P194 呪いの力で人を「殺害」することは、決して不可能ではない

P195 我々は古代より伝承されてきた呪術の力を、現代に継承した。我々とは

P196 「呪いの考察と研究 実証編」を書いたのは、キノミヤマモル

P198 冊子のことを聞くために、いやしの村を訪れる私

P199 いやしの村の駐車場に軽トラとバン

P200 私が村に戻ってきてくれて、村人は嬉しがっている

P203 キノミヤに促されて、私が飲んだ、秋摘み茶

P203 キノミヤの体調は芳しくない

P208 冊子を書いたのはキノミヤで、施設の滞在者の中から選ばれた者だけに渡している

P209 キノミヤたちは、酒内村の末裔で、呪術による数々の復讐行為や殺害を成功させてきた

P210 朔は、呪いによって死んだのではない

P211 私に冊子を送ったのはキノミヤの指示で、村に戻ってきてもらうため

P213 私と朔とが特別な関係にあることを、キノミヤは知っている

P214 朔はキノミヤの娘

P215 素数蝉の話のように、私たちの出会いや別れも、偶然のように見えて、すべて定められている

P216 朔と私しか知らない秘密とは

P218 私が犯した罪とは

P218 ロッジに戻ってきて私が飲んだハーブティー。アップルパイの女性が持ってきた

P219 私は微睡みのなかにいるよう

P220 私が隠していた「重要な事柄」

P221 朔は、自分で解決しなければならないと、私を突き放した

P223 援助交際を強要している茶髪の男のことを警察に相談しようとする私だが、朔は頑なに拒絶する

P224 朔の家は伝統ある旧家。厳格な父が嫌で家を飛び出した…とあるが、本当か?

P226 朔から私に、男と食事しているという連絡が入る

P226 男はかなり酔っている

P228 私は男を橋の上から落として、殺害。罪悪感に襲われる

P230 朔は、家庭の事情で高校を休学した

P230 「私は大丈夫だよ」という朔からの手紙

P231 私は警察に逮捕されなかった

P232 男を酔わせて、歩かせて、橋の上に立ち止まらせたのは朔であり、朔が私に男を殺させた?

P233 朔は、私が男を橋から突き落とそうとするのを必死に止めていた。朔が私に男を殺させようとしたのなら、この行動は矛盾する

P233 私にとって朔は、限りなく尊い存在

P236 鐘のようなものを鳴らしているような音

P237 村人は自分の復讐が果たされる日を、待ち続けている。復讐が行われるかはキノミヤが判断

P237 キノミヤに選ばれたら、冊子が手渡される。そしてキノミヤに連れて行かれ洗礼が行われる

P238 願いを叶えた村人は、村から出て行く

P238 呪術ではなく物理的に殺害?野菜の配達と見せかけて?

P239 交換殺人

kotobank.jp

P240 私は、いやしの村にいると、やけに落ち着く。朔が近くにいるような錯覚

P240 キノミヤの話。現実の話か?

P240 死ぬことが怖くなくなる言葉

P241 色即是空、空即是色

ja.wikipedia.org

P242 この世のあらゆるものには実体がなく、実体がないものがこの世のあらゆるもの

P243 再び鐘の音

P243 私の体調が良くない。意識朦朧

P243 夢の中の話。本当に夢の話か?

P244 夢の中でも、鐘の音。

P244 夢の中で、村人の中に背の高い無精髭の青木伊知郎を見かける。

P244 夢の中に、白装束の朔。「丸い貝は幸せを呼ぶらしいよ」という朔の声

P245 取材者の男性(T)とは誰か

P245 以下の文章は代理者によって記述かれたものとあるが、代理者は誰か

P245 投薬されて意識混濁しているT

P246 妻とは誰のことか。

P246 妻は自分の血筋を呪い、運命を受け入れることを拒んでいた時期もあった

P246 妻は祈祷を始めた

P248 Tの身体は49個に分断された

P249 闇の中を歩く村人たち。シンギョウジ、ユウナギ、ミカジリ、野瀧、アガツマ、ニシキオリの順

P250 新月の夜

P251 キノミヤが鳴らす鐘

P251 逆打ちで酒内湖を歩く

P253 新月…月が見えない時期のこと。朔ともいう

P254 佐竹綾子というジャーナリストの取材依頼の問い合わせ

まぼろしの村

P258 「まぼろしの村」の表題は白色の明朝体で書かれている。前章の「無垢の民」と同じ。また、内容は、「素数蟬の理」に酷似しているが、ところどころ違っている

P258 いやしの村代表キノミヤマモル

P264 炎天下の中、SUV車を走らせる

P265 70歳前後くらいのキノミヤ

P266 自分を「僕」と言う

P267 浴場の右側が男湯、左側が女湯

いやしの村滞在記・目次

P270 この目次で、このルポルタージュの書き手が2人(プラスα)いて、これまでの時系列が

  1. 「まぼろしの村」都築亨
  2. 「無垢の民」都築亨
  3. 「素数蟬の理」佐竹綾子
  4. 「取材を終えて」佐竹綾子

という順番になっていることが明かされる

取材者が2人いて、それぞれのルポルタージュが混合することで、ちょっとした矛盾とか違和感とかが文章にあらわれた

また、この目次では「まぼろしの村」「無垢の民」の都築亨が書いたものは明朝体で、「素数蟬の理」「取材を終えて」の佐竹綾子が書いたものはゴシック体で表現されている

まえがき

P272 「まえがき」は、佐竹綾子が書いたもの

P272 この本は、佐竹が時系列とは逆に編纂している

P272 佐竹綾子と都築亨は一切の面識がなく、佐竹が都築の存在を知った時は、亡くなっている

P272 都築亨の崇高な死。鎮魂を込めて、佐竹は通常とは逆に編纂した。つまり、逆打ち

P273 全ては予め仕掛けられていた

P274 佐竹は、恨んでいた知人が不慮の事故で命を落としたことを知って、歓喜に打ち震えた

P275 酒内湖で起こった死体遺棄事件で、警察はキノミヤマサルこと青木伊知郎はじめ関係者数名を指名手配した

P276 「いやしの村滞在記」という題名

私の考える「出版禁止 いやしの村滞在記」の焦点

時系列順に考えていきます。

まず、「まぼろしの村」の章が一番古い出来事です。

この章は、都築亨が書いています。

都築は、いやしの村代表キノミヤマモルに連絡を取って、いやしの村へ行くことにしました。

都築はSUVに乗って村へ行きますが、このSUVは、後に佐竹の章で登場します。

キノミヤは、70歳前後となっています。

この人がキノミヤマモルで、佐竹の章で登場するキノミヤマサルとは別人です。

都築は、自分のことを「僕」と言ったり、男湯を使ったりするところから、男性とわかります。

時系列で、次の章は「無垢の民」で、これも都築亨の話。

まだ、いやしの村へ行く前、都築は編集者石川と会っていた時に、石川は知人の青木伊知郎という会社経営者と偶然出会い、そこから都築と青木は知り合いになりました。

これは、青木は都築に近づくため、あらかじめ石川と知人になるという工作をして会った、偶然ではなく必然だと思います。

そこで、青木は、妻の朔がいやしの村に呪い殺されたということを都築に伝えます。

朔は、都築の元同級生で、都築が慕っていた人物。

青木は、都築をいやしの村へ誘い込むよう仕向けました。

青木が都築をいやしの村へ誘い込んだのは、都築が贄(後述)として選ばれた者だから。

これが、都築がいやしの村を取材するきっかけです。

キノミヤは、都築の体調を気にしていましたが、これは都築が贄としての要件を満たすため、気にかけていました。

つまり、都築が体調を崩されては、贄として不適格な人になってしまうので、気にかけていました。

都築は、キノミヤに呪術のことを尋ねるが否定されます。

これは、キノミヤに呪術のことを知られるには時期として早すぎたのか、単に嘘をついていたと思われます。

都築と朔がクラスメートだった高校時代、朔は、父のキノミヤマモルから言われて、酒内湖で行われる百年祭の贄として適格な人物を探させていました。

朔は、自分に好意を持っていそうな都築に白羽の矢を立てました。

都築に「幸せを呼ぶ丸い貝」を渡したのは、贄として適格だという目印。

それは「幸せを呼ぶ丸い貝」の「幸」「丸」「貝」の字を組み合わせると「贄」になるということから。

その後、朔は、大きな事業に携わっているとあるが、これは百年祭のこと。

青木においても、大きな事業に携わるという同じような話が出てくるが、これも百年祭を意味します。

贄としての要件に「過去に殺人などの恐ろしい罪を犯し、良心の呵責にあえぐ者」とあり、それを満たすため、朔は茶髪男を、都築に殺させました。

途中、朔は、都築が茶髪男を川に突き落とすのを止めようとしましたが、これはP246「朔は運命を受け入れることを拒んでいた時期もあった」とあり、都築に殺人を犯させることを戸惑ったのではないかと思われます。

いやしの村の話に戻り、都築は元美容師の野瀧と話すようになりました。

話すようになったのは、徐々に百年祭の時期が近づき、朔について少し都築に話しておくようキノミヤに言われたからと思いました。

都築は、村から出て、青木と会うために東京へ戻りました。

が、青木は行方不明。

青木は会社を潰して行方をくらましたと、都築は聞きます。

その後、東京の都築の家に「呪いの考察と研究」などが送られてきます。

これはキノミヤが選ばれた者だけに渡しているとありますが、都築がいやしの村に戻ってきてもらうための誘い水で、送ったものだと思います。

東京の図書館で村人らしき人を都築が見かけますが、これは都築を監視するためにキノミヤが送ったのでしょう。

百年祭の贄として都築は要件を満たしているため、この期に及んで都築に逃げられたり体を壊されては、苦労して見つけてきた贄を失い、それに代わる新たな贄を探さなくてはならなくなり、最悪百年祭ができなくなってしまう。

それを防ぐため、都築に監視をつけたのだと思います。

都築は村に戻り、秋摘茶やハーブティを飲んでいますが、おそらくその中に意識を失うような薬剤が投入されていたのでしょう。

宮司のキノミヤが鐘を鳴らし、百年祭が行われることになりました。

都築は、ここから夢か現実かわからなくなります。

まさに色即是空空即是色のような状況。

都築が夢の中で見たという朔も青木も現実の朔と青木。

青木は後のキノミヤマサルであり、いやしの村(酒内村)側の人間で、妻の朔は巫女。

また、青木は都築が気を失った後のレポの代理者でもあります。

「朔」は、新月を意味し、この新月の日に百年祭は行われます。

また、朔という言葉には、「ついたち」という意味もあり、青木伊知郎の「『いち』ろう」という名前も、「ついたち」という言葉に引っ掛けていると思いました。

百年祭が終わり、都築が贄として全うした後、「素数蟬の理」の章になります。

この章は、佐竹綾子という女性の話になります。

佐竹がいやしの村に入る時、駐車スペースにSUVが駐車されていますが、これは都築が乗ってきたもので、放置されています。

また、佐竹が風呂場に入るシーンで、佐竹は女湯のある左側の暖簾をくぐっています。

このことから、この章の書き手は女性であるとわかります。

取材者佐竹を案内した女性の名はミチルですが、おそらく朔でしょう。

新月の儀式つまり百年祭を終えたということで、徐々に月が満ちている状態を表すミチルという仮名にしてあるのだと思われます。

また、カタカナ仮名のうち、このミチルだけが下の名前の仮名です。

佐竹が取材申込した時のキノミヤの名前は、キノミヤマサル。

都築が会ったのはキノミヤマモルです。

つまり別人。

朔の父であるキノミヤマモルはすでに亡くなっており、キノミヤマサルは青木伊知郎。

酒内村の宮司は、襲名する必要があるということで、青木はキノミヤマサルを襲名しました。

下の名前がマモルとマサルで違うのは、歌舞伎や落語の襲名のように、歳を重ね経験を積むにつれて、再び襲名して下の名前が変わるような襲名の仕方なのだと思います。

キノミヤマサルも、やがてキノミヤマモルを襲名することになるのかと思います。

キノミヤマサルが青木伊知郎であるというのは、P32でミチルに「キノミヤは会社を潰した」ということを言われたところからも分かります。

村人たちは、各々恨みを抱いて村に入ってきました。

その恨みを晴らすことが達成された時、村から出ていくと思われます。

恨みを晴らすとは、恨まれている人が危害を加えられたり死亡したりすること。

これは、おそらく、呪いによるものではなく、物理的にキノミヤや村人たちが行動して恨まれている人に危害を加えるなどの行動をしているのだと思います。

たまに、村の野菜を売りに出かけるのは、そういう行動をするためだと推測します。

佐竹が村に来る前の2008年12月に、酒内湖での事件が起こりました。

この被害者は、もちろん都築亨であって、百年祭の贄になったためです。

キノミヤと朔は、とにかく百年祭を行うことが目的であり、それを行うには恨みの力が必要。

逆に、村に入る者たちは恨みを抱いていて、その恨みを解消するためにキノミヤと朔、すなわちいやしの村を頼りました。

いわばギブアンドテイクみたいなものが成立しています。

佐竹は、わざとまえがきを最後に持ってきて、時系列とは逆にこの本を編纂しています。

百年祭での逆打ちのようなものであり、この編纂のやり方自体に「呪い」が仕掛けられていると、最初の「おことわり」に書かれています。

そもそも佐竹がこの「いやしの村滞在記」を編纂するキッカケになったのは、佐竹が恨んでいた知人が不慮の事故で死んだこと。

つまり、いやしの村の呪いの力が本当にあるんだと信じたからではないでしょうか。

「取材を終えて」で、赤ん坊が生まれますが、これは文脈から、青木と朔の子でしょう。

もちろん、崇高な死を遂げたあの人とは、贄になった都築亨のこと。

最後に、詩ですが、これは普通に読むとわりと倫理的な内容になりますが、逆から読むと真逆の意味になり、非倫理的で残酷な内容となります。

通常は決まったとおりに読まなくてはならなくて、特別な時のみ逆から読むようなもので、まさに、酒内湖の逆打ちを擬似的に盛り込んだ詩と言えると思います。

また、この本は、カバーがシンメトリーになっていて、本の題名や著者等の部分を取り除けば表紙・裏表紙とも同様な絵になっています。

つまり、それは裏表紙を表紙と捉えることも可能と示唆しているのだと思います。

また、カバーを取った緑色の本では、表紙と裏表紙が逆になっています。

これも、逆打ちを意味しているのでしょう。

表紙にある「いやしの村の編集・発行」というのは、佐竹が取材者という立場ではなく、完全にいやしの村の村人という立場で編集・発行を行っているということを意味しているのだと思います。

蛇足かもしれませんが、本の帯に「呪を禁じる」ような意味に取れるマークについて、これはこの本に込められた呪いを封じるためのものだと私は思いました。

もしくは、呪禁師を意味するのかもしれません。

このような話なんだろうと思います。

…これが真相なのかはわからないですが、一応私の考えです。

私は、気になったところに付箋を貼りながら、メモしながら、読んでました。

あなたには”真実”が見えましたか?

以上、「長江俊和さんの著書 出版禁止 いやしの村滞在記 考察(ネタバレ注意)」でした。