こんにちは、ショウヘイです。
長江俊和さんの著書「東京二十三区女 (幻冬舎文庫)」を読みました。
「港区の女」の私なりの考察です。
その前の「渋谷区の女」の私なりの考察はこちらです。
長江俊和さん。
この東京二十三区女は、長江俊和さんが書いています。
長江俊和さんといえば、放送禁止シリーズで有名な方です。
放送禁止シリーズは、フジテレビの深夜に放送されていたドキュメンタリーに見えるドラマです。
とある理由で放送できなかったドキュメンタリー映像を、フジテレビの倉庫の中から見つけてきて、それを放映するという設定のドラマです。
放送禁止シリーズの面白いところは、ドキュメンタリーの映像を別の視点から見ると、まったく違う事実が浮かび上がるというもの。
私は、そんな放送禁止シリーズなど、長江俊和さんの作品が大好きです。
そんな放送禁止シリーズを手がけた長江俊和さんは、小説も書いていて「出版禁止」「出版禁止 死刑囚の歌」「掲載禁止」などがあります。
東京二十三区女 港区の女の考察。
ここから、東京二十三区女 港区の女の考察に入ります。
これより、ネタバレになりますので、見たくない人は気をつけてください。
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文庫版ページと、私が気になった事柄や思ったこと。
P157 「お台場」はなぜ「お」をつけるのか。
P157 乾航平が話の主役。タクシーに乗っている。
P159 「お台場」はなぜ「お」をつけるのかは、幕府の施設だから。
P160 航平は、IT企業の社長。お台場のオフィスから、住居のある六本木ヒルズまで行くためタクシーで向かっている。
P161 タクシー運転手は、60歳くらい。航平は、30歳くらい。
P163 タクシー運転手は、航平が乗車する時に、航平の背後に女性と男の子を見かけた。
P165 仙台坂は、麻布と品川にあるが、この話では麻布の方。
仙台坂は通称「幽霊坂」と言われている。ちなみに、「幽霊坂」は、港区三田にもあり、その他日本全国いろいろな場所にたくさんあるみたい。
P166 タクシー運転手は、霊感のあるほう。
P167 タクシー運転手が、仙台坂近辺で起こった殺人事件を紹介するが、これはどうやら実際の事件らしい。
P167 航平の妻は希恵、子供は蒼太。
P168 航平は取り返しのつかないことをした。
P168 白金トンネル。国立科学博物館附属自然教育園の西を通る首都高速道路の下を通る一般道のトンネル。
P169 六本木ではなく、目黒の五本木にタクシーは向かっている。本当に、タクシー運転手の勘違いか。
P172 タクシー運転手は、お台場の埠頭に立っている人を見かけた。
P172 埠頭での航平の行為とは。
P174 狸穴坂。
P180 バックミラーに映る子供を抱えた長い髪の女はびしょ濡れ。
P183 航平「自分が帰る場所はここじゃない」とは。
P184 タクシー運転手は、埠頭での航平の行為を全部見ていた。
P186 タクシー運転手は、胡麻塩頭の初老の男。
P186 航平が支持した目的地とは、東京タワーが見える古いアパート。
P187 アパートは、妻希恵と最初に暮らした場所。
P188 航平は、尊い命を奪った。誰の命か。
P189 実は、航平は、埠頭で我が身を投じていた。
P190 航平の会社が立ち行かなくなり、自分の死亡保険金でなんとかしようと企てた。
P192 一体この車はどこに行くのだろうか。
P194 タクシーは、航平の思い出の地を回った。
P196 青山霊園。死者と生者をつなぐ場所。”生と死の間”。
P197 航平は、死ぬ前に妻と子にもう一度会いたいと思う。
P197 永遠の暗黒。
P197 湾岸。ここからは、凛々子の話。病院に取材に来た。
P198 凛々子を案内する医師は、白髪が多い初老の男性。
P199 部屋の中には、ベッドに寝ている男性患者と同年代の女性。夫婦。
P201 「僕はもう生きていないのだから」と男性。
P202 凛々子と同行する島野仁先輩。元民俗学講師だが、今は訳あって大学に行っていない。
P202 コタール症候群。
P204 男性患者は、乾航平。徐々に、回復しているらしい。
P205 医師は、航平を車に乗せて、航平の思い出の地を巡って、コタール症候群の克服を図った。
P206 先輩が思い出した、研究のこととは。
P210 航平の願いが叶ったとは、 P197の死ぬ前に妻と子にもう一度会いたいという願い。
P213 再び、「お台場」に「お」をつけるのかというタクシー運転手の話。
私の考察。
この港区の女は、話が難しい。
素直に読んでいくと、「自殺未遂した乾航平が、自分は死んでいると思い込んでいたが、タクシー運転手になりすました医師の運転で思い出の地を巡ることでそれを克服した。しかし、航平の妻希恵は家族もろとも車で海に突っ込み、心中してしまう」という話なのだけれど、最後に再び医師と思われるタクシー運転手が出てくるんですよね。
となると、航平は再び助けられて、再びコタール症候群になり、再び医師の運転で思い出の地を巡る療法をしているということなのでしょうか。
気になるのは、P180で、航平がバックミラーに映る子供を抱えたびしょ濡れの長い髪の女を見ていること。
これを、航平は希恵と蒼太だと思った。
びしょ濡れの希恵と蒼太ってことは、希恵と蒼太は水に浸かったということで、これは希恵が家族もろとも車で海に突っ込んだ後の話ではないか。
となると、
「初老」という言葉が出てきます。
タクシー運転手と医師は、どちらも初老なんですが、初老は40歳くらいを意味します。
で、P161では、航平はタクシー運転手を60歳くらいじゃないかと思っていて、これは初老と合致しないんですよね。
ということは、もしかしたらタクシー運転手は、本物の運転手と医師が装った運転手と二人いる?
そう考えると、P168の「一体自分はどこに」まで、つまり六本木ヒルズに向かうまでは、希恵が家族もろとも車で海に突っ込んだ後の話で、その後、白金トンネルを走っている時は、航平が一人でお台場の海に飛び込んだ後、救出されて、医師の運転で思い出の地を巡る療法の話なのでは、と思いました。
タクシー運転手が、行き先の六本木ヒルズと五本木を間違えるなんてありえないですし。
ただ、初老という言葉は、最近では40歳のみを意味せず、60歳とかでも使うみたいなんですがね。
ま、私の憶測は、難しく考えすぎた邪推なのかもしれませんが。
あと、凛々子と先輩の間で話題に上がるモヤモヤした部分は、まだよくわかりませんね。
…と、私は解釈しました。
「あなたには”真実”が見えましたか?」
以上、「長江俊和さんの著書 東京二十三区女(幻冬舎文庫)の港区の女 考察(ネタバレ注意)」でした。