こんにちは、ショウヘイです。
長江俊和さんの著書「掲載禁止 (新潮文庫)」を読みました。
その中の「斯くして、完全犯罪は遂行された」について、その考察です。
ネタバレがあるので、注意してください。
掲載禁止とは。
この掲載禁止は、長江俊和さんが書いています。
長江俊和さんといえば、放送禁止シリーズで有名な方です
放送禁止シリーズは、フジテレビの深夜に放送されていたフェイクドキュメンタリー(ドキュメンタリーに見えるドラマ)です。
とある理由で放送できなかったドキュメンタリー映像を、フジテレビの倉庫の中から見つけてきて、それを放映するという設定のドラマ。
放送禁止シリーズの面白いところは、ドキュメンタリーの映像を別の視点から見ると、まったく違う事実が浮かび上がるというものです。
そして、この掲載禁止。
掲載禁止の原罪SHOWとマンションサイコと杜の囚人については、記事を書きました。
掲載禁止 斯くして、完全犯罪は遂行されたの考察。
ここから、掲載禁止 斯くして、完全犯罪は遂行されたの考察に入ります。
これより、ネタバレになりますので、見たくない人は気をつけてください。
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文庫版ページと、私が気になった事柄や思ったこと。
P163 斯くして、完全犯罪は遂行された…斯くしては、このようにしてという意味。つまり、このようにして、完全犯罪は行われたのだということです。どのように完全犯罪は行われたのかということがこの物語に内容で、根幹。いったい誰が完全犯罪を行ったのか…?
P164 この段落で示している、完全犯罪を見ている人物は誰か?
P165 段落の間に「*」が挿入されている。このマークが出る度に、視点の人物が入れ替わる。ここからは、主人公である男の視点になる。ということは、前の段落の視点は主人公の男ではない?となると、いったい誰なのか?
P165 同棲している男の彼女、希和子。
P166 男はIT社長のようだ。ちなみに、男の名前は不明。
P168 かつての親友、ワタル。
P169 ワタルは、マインドコントロールで女を虜にしていた。時には薬物を使うこともあった。
P176 *ここから希和子の視点になる。
P178 希和子が男に近づいた目的とは?
P178 *ここから男の視点。
P179 ワタルのもとには、一人洗脳された女性がいるらしい。
P180 *希和子の視点が始まる。
P180 希和子が料理に混ぜた薬とは?
P181 ワタルのもとにいる女の名は、紫音。紫音は、決してワタルに全てを捧げたいと思っていない。
P181 希和子が男に近づいた目的は、男を抹消すること。
P182 *ここから男の視点。
P185 *ワタルの視点。
P185 紫音が作った薬膳スープを飲むワタル。
P186 *男の視点。
P186 希和子の精神状態が不安定。男もまた苛立つことが多くなってきている。
P189 希和子に男は手を上げてしまう。徐々に酷くなっていく。
P189 身も心も、希和子をものにしたいと思う男。
P189 *希和子の視点。
P189 男からDVを受けているという証拠集めをしている。
P190 薬が効いている。
P191 *ここからの視点は、誰の視点か?後述。
P192 *男の視点。食欲減退と疲労を感じる。
P193 希和子に栄養剤を飲まされる。
P193 *希和子の視点。
P193 *男の視点。
P195 希和子が料理などにおかしな薬を混入しているという、男の疑念。
P201 希和子をあやめてしまった男は、隠蔽工作をしようとする。
P202 十日後、男の完全犯罪が遂行されたと悟る。
P203 縦線からは、警察に勾留された男の話。
P203 ここから、男が行った隠蔽工作と、希和子による周到な策が判明してくる。
P204 希和子は、男に違法な薬物(興奮剤)を摂らせていたようだ。
P205 男が希和子を手にかけるようにしたのは、希和子の仕掛け。
P206 *ワタルの視点。
P207 男が希和子を手に掛けるように仕組んだのは、生命保険金狙いのため。
P208 「でも、まだ完全じゃないわよ」と紫音。
P209 *紫音の視点。
P210 紫音が最も心待ちにしていた瞬間。
P210 斯くして、完全犯罪は遂行された。
私の考察。
この物語は、難しい話ではなく、すらすらと読めて、内容もわかりやすいと思います。
登場人物は、男、希和子、ワタル、紫音の四人。
登場人物それぞれの意図や画策が入り乱れ、最終的に紫音の一人勝ちみたいなことですよね。
数学的に表すと、「紫音(ワタル(男+希和子))=完全犯罪」といった感じでしょうかね。
P164の最初の段落で、完全犯罪を見ている人物は、おそらく紫音なのでしょう。
そして、P191から始まる視点は、紫音なのだと思います。
人の心を巧妙に操り、完全犯罪のシナリオを練り上げたのは、紫音。
「完全犯罪が完成するその瞬間を見たい」というが、最終的にその瞬間を見ることができたという意味では…
男は、警察に捕まり完全犯罪を成し遂げることができなかった。
希和子は、男に亡き者にされてしまうので、その瞬間を見ることができない。
ワタルも、最後は自殺してしまうので、その瞬間を見ることができない。
というわけで、P191から始まる視点は、紫音しか当てはまらないということだと思います。
希和子は、男に薬物を摂らせ精神を興奮させるようにしむけ、ワタルは希和子に対してマインドコントロールをしていた(と思われる)。
紫音は、薬物を混ぜた薬膳スープをワタルに飲ませ、ワタルの精神を支配していたと思います。
…ふと思ったのですが、紫音という名前の読み方は「しおん」じゃなくて「しね」とも読むことができる…。
希和子とワタルは亡くなった。
男は警察に捕まり、命は助かったわけだが、社会的には抹殺されたも同然なので、亡くなったに等しいか…。
いや、もしかしたら、紫音は、希和子と男を刺し違えさせ、あわよくば男の命をも奪おうとしていた…?
とまぁ、いろいろな想像をしてしまいます。
「あなたには”真実”が見えましたか?」
以上、「長江俊和さんの著書 掲載禁止(新潮文庫)の斯くして、完全犯罪は遂行された考察(ネタバレ注意)」でした。